专利摘要:
本発明は、ヒト筋萎縮性側索硬化症の有望なモデルである、変性性脊髄症に関するSOD1遺伝子に重大な遺伝的危険因子を保有するイヌを同定する方法を提供する。マーカーの有無に基づく早期診断、処置および繁殖の方法も同じく提供される。
公开号:JP2011510666A
申请号:JP2010545276
申请日:2009-02-04
公开日:2011-04-07
发明作者:クレア ウェード;ジョーン;アール. コーテス;ゲリー;エス. ジョンソン;カースティン リンブラド−トー
申请人:ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティーオブ ミズーリ;
IPC主号:C12Q1-68
专利说明:

[0001] 本出願は、2008年2月4日に提出された米国仮出願第61/025,949号の優先権を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に組み入れられる。]
[0002] 1.発明の分野
本発明は一般に、分子遺伝学、獣医学、獣医神経学、ヒト神経学およびヒト医学の分野に関する。より詳細には、これは獣医学的疾患であるイヌ変性性脊髄症およびヒト疾患である筋萎縮性側索硬化症にかかわる。具体的には、本発明は、致死性の獣医学的疾患であり、かつ筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルである、イヌ変性性脊髄症に関する重大な遺伝的危険因子の存在を同定するための遺伝マーカーの使用に関する。]
背景技術

[0003] 2.関連技術の説明
イヌ変性性脊髄症(CDM;慢性変性性神経根脊髄症としても知られる)は、ジャーマン・シェパード(German Shepherd)、ウェルシュ・コーギー(Welsh Corgi)およびいくつかの他の品種においてよくみられる神経疾患である。本疾患は慢性かつ進行性であり、動物における跛行をもたらす恐れがあり、ついには後肢の広範な麻痺を招くこともある。動物は数カ月以内に肢体不自由となる可能性があり、そうでなくても生存するのはおそらく最長で3年であろう。いずれの筋書きにおいても、本疾患は動物にとって廃疾性(debilating)であり、生活の質(quality of life)を著しく損ない、結果的には安楽死を招くこととなり、ペットの飼い主およびブリーダーの両方を一様に疲弊させる。]
[0004] CDMは治癒不能な慢性病状であるが、適正な運動および栄養補給のプログラムを通じて、イヌの生活の質を短期間は維持させることができる可能性がある。運動はイヌが歩行する能力を維持させるために推奨されており、理学療法はイヌが移動能力を保っている期間を延長させ、生存期間を増大させる可能性があるが、最終的な転帰は良好ではない。CDMの進行を停止させるかまたは遅らせる有効な治療法として証明されたものは未だにない。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)によって承認されてはいないものの、アミノカプロン酸(EACA)およびn-アセチルシステイン(NAC)は進行を遅らせる可能性があるが、この処置は依然として実験的であって議論の余地がある。]
[0005] 本疾患の廃疾的な性質、および証明されている治療法が存在しないことを考慮すれば、CDMを発症する素因のある動物の同定を可能にする遺伝マーカーの同定は、ブリーダーおよびペットの飼い主の両方にとって一様に極めて有益であると考えられる。]
[0006] したがって、本発明によれば、変性性脊髄症の遺伝マーカーに関してイヌをスクリーニングする方法であって、(a)前記イヌから核酸を含有する試料を入手する段階;および(b)前記試料中のSOD1遺伝子または転写物の構造を評価する段階を含み、参照野生型SOD1遺伝子または転写物と比較した場合の前記SOD1遺伝子または転写物の構造における変化により、前記イヌが前記遺伝マーカーを保有することが指し示される方法が提供される。イヌは、ボクサー(boxer)、ウェルシュ・コーギー、チェサピーク・ベイ・レトリーバー(Chesapeake Bay retriever)、ローデシアン・リッジバック(Rhodesian Ridgeback)、ジャーマン・シェパード、ケリー・ブルー・テリア(Kerry blue terrier)、アイリッシュ・セッター(Irish setter)、オールド・イングリッシュ・シープドッグ(old English sheepdog)、コリー(collie)、スタンダード・プードル(Standard poodle)、ワイヤー・フォックス・テリア(wire Fox terrier)、別の品種、またはそれらの交雑種であってよい。段階(a)は、パイロシークエンシング、競合的プローブハイブリダイゼーション、連鎖停止シークエンシング(chain-terminating sequencing)、制限消化、アレル特異的ポリメラーゼ反応、一本鎖高次構造多型分析、遺伝子ビット(genetic bit)分析、TaqMan(登録商標)アレル識別アッセイ、温度勾配ゲル電気泳動、リガーゼ連鎖反応、融解曲線プロファイル、もしくはマイクロアレイハイブリダイゼーション、マイクロアレイ分析と他の核酸マーカーアッセイとの組み合わせを含んでもよく、または前記遺伝マーカーと連鎖不平衡にある遺伝子座の構造を評価することを含んでもよい。遺伝マーカーは、SOD1ポリペプチドの残基40でのE→K置換に対応するSOD1コード領域内の多型であってよい。本方法はさらに、SOD1の機能を評価するアッセイを実施する段階を含んでもよい。]
[0007] 参照野生型SOD1エクソン2配列は、以下の配列を含みうる。]
[0008] 変異型SOD1エクソン2配列は、以下の配列を含みうる。]
[0009] もう1つの態様においては、イヌ変性性脊髄症または筋萎縮性側索硬化症に対する処置を評価する方法であって、(a)参照野生型SOD1遺伝子または転写物と比較した場合にSOD1遺伝子に突然変異を有するイヌを同定する段階;(b)前記イヌに対して候補治療法を施す段階;および(c)前記候補治療法を前記変性性脊髄症に対する効能に関して評価する段階、を含む方法が提供される。イヌは、ボクサー、ウェルシュ・コーギー、チェサピーク・ベイ・レトリーバー、ローデシアン・リッジバック、ジャーマン・シェパード、ケリー・ブルー・テリア、アイリッシュ・セッター、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、コリー、スタンダード・プードル、ワイヤー・フォックス・テリア、もしくは別の品種、またはそれらの交雑種であってよい。突然変異は、SOD1ポリペプチドの残基40でのE→K置換に対応するSOD1コード領域内の多型であってよい。評価は神経学的診察、電気診断検査、CT/脊髄造影法、MRIもしくは機能イメージングを含んでもよく、または評価が脊髄(spinal chord)の免疫病理組織学(immunohistopathology)を含んでもよい。]
[0010] 本明細書に記載された任意の方法または組成物は、本明細書に記載された任意の他の方法または組成物に対して実行しうることを想定している。]
[0011] 特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語とともに用いられる場合の、「1つの(a)」または「1つの(an)」という語の使用は、「1つの(one)」を意味することもできるが、「1つまたは複数の(one or more)」、「少なくとも1つの」および「1つまたは2つ以上の(one or more than one)」の意味とも両立する。]
[0012] 本発明のこれらおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて検討することによって、より良く認識および理解されるであろう。しかし、以下の説明は、本発明のさまざまな態様およびそれらの多くの具体的な詳細を示しているものの、これらは例証の目的で提供されるものであり、限定を目的とするものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内で、その精神から逸脱することなしに多くの置換、変更、追加および/または再構成を施すことができ、本発明はこのような置換、変更、追加および/または再構成のすべてを含む。]
図面の簡単な説明

[0013] 以下の図面は本明細書の一部をなすものであり、本発明のある種の局面をさらに実証するために含められる。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と併せて参照することによって、より良く理解されうる。
図1A〜1Cは、主要なDM座位のマッピングを示す。(図1A)ペンブローク・ウェルシュ・コーギー(Pembroke Welsh corgi)の38頭の症例(表現型上の厳密性1〜4)および17頭の対照を用いることによる49,663種のSNPのGWAにより、PLINKにて10,000回のパーミュテーションを用いることによって、CFA31上のある主要な座位(pgenome=0.18)および他の染色体上により弱い複数のシグナルが同定された(38)。(図1B)CFA31関連領域はほぼ1.5Mbにわたり、SOD1を含む。5つの品種(ボクサー、8頭/15頭[症例/対照];チェサピーク・ベイ・レトリーバー、9頭/48頭;ジャーマン・シェパード・ドッグ、4頭/54頭;ペンブローク・ウェルシュ・コーギー、35頭/17頭;およびローデシアン・リッジバック、7頭/8頭)の63頭の症例(表現型上の厳密性レベル1〜3)および144頭の対照における90種のSNPを用いた高精度マッピングによるP値が、別にアッセイしたミスセンス突然変異に関する関連とともに示されている。(図1C)高精度マッピングデータにより、SOD1突然変異を取り囲む195kbのハプロタイプが5品種のすべてに関連していること、およびこのハプロタイプがSOD1突然変異よりも古いことが示されている。
図2A〜2Bは、脊髄の病理組織学検査を示す。(図2A)DMに罹患した13歳のペンブローク・ウェルシュ・コーギーの胸髄横断面のルクソールファーストブルー(Luxol fast blue)-過ヨウ素酸シッフ染色。白質変性は退色領域によって描写されており、ここには神経線維の損失がある。(図2B)罹患していない13歳のラブラドール・レトリーバーからの同様に(Asimilarly)染色した脊髄横断面。神経線維の損失の証拠がみられないことに注目されたい。顕微鏡写真の右下方のバーは倍率を指し示している。
図3A〜3Iは、抗SOD1抗体による免疫組織化学染色を示す。G/Gホモ接合性の無症候性対照イヌ3頭(図3A〜C)、A/Gヘテロ接合性の無症候性対照イヌ3頭(図3D〜F)、およびDMと確定診断されたA/Aホモ接合性イヌ3頭(図3G〜I)の脊髄からの代表的な切片。試料は、13歳のローデシアン・リッジバック(図3A)、8歳のラブラドール・レトリーバー(図3B)、13歳のラブラドール・レトリーバー(図3C)、8歳のオーストラリアン・シェパード(図3D)、13歳のチベタン・テリア(図3E)、8歳のジャーマン・シェパード・ドッグ(図3F)、8歳のローデシアン・リッジバック(図3G)、13歳のペンブローク・ウェルシュ・コーギー(図3H)および10歳のボクサー(図3I)からのものであった。図3A中のバーは、すべての脊髄横断面の倍率を指し示している。
図4A〜4Dは、進行DMにおける骨格筋および末梢神経の病理組織学検査を示す。(図4A)DMに罹患した13歳のペンブローク・ウェルシュ・コーギーの腓腹筋のH&E染色したパラフィン切片により、筋線維サイズに極端なばらつきがあり、脱神経に一致して萎縮性線維の大きな群と小さな群があることが示された。(図4B)比較のための、齢数を一致させた対照イヌからの同様に染色した腓腹筋。(図4C)同じペンブローク・ウェルシュ・コーギーからの腓骨神経のトルイジンブルー染色した樹脂包埋切片により、かなりの有髄線維の損失、神経内膜線維症および二次性脱髄が示された。(図4D)比較のための、齢数を一致させた対照イヌからの同様に染色した腓骨神経。すべての図の右下方のバーは倍率を指し示している。
罹患-品種対照群におけるA/Aホモ接合体の試料採取時の齢数およびDMに罹患したイヌにおける臨床徴候の発症時の齢数の分布を示す。]
[0014] 例証的な態様の詳細な説明
I.本発明
イヌ変性性脊髄症(CDM)は、種々のイヌ品種でよくみられる肢体不自由性かつ致死性の神経疾患である。本疾患は慢性かつ進行性であり、代わりの選択肢が存在しない「治療法」である物理療法および栄養補給は、疾患の開始を遅らせるという限られた能力しか有しない。ついにはイヌの後肢は用を果たさなくなり、その時点では安楽死が唯一の選択肢となることもある。安楽死を遅らせると、本疾患は上行して前肢を冒すようになる。本疾患の進行は一般に緩徐ではあるが不可避である。以上に考察したように、この疾患の病因は不明であるものの、その理由は遺伝性であろうと考えられている。このため、遺伝的危険因子を保有するイヌをブリーダーが同定しうることには、それにより、高齢になった時にCDMを発症するリスクが高い子犬が生まれるような交配を彼らが避けることができることから、大きな意義がある。加えて、遺伝的危険因子に関するイヌの遺伝子型は、本疾患の臨床徴候を示しているイヌにおけるCDMの診断を確定するため、または否定するための一助にもなりうる。]
[0015] 本発明者らは、ペンブローク・ウェルシュ・コーギーにおいて、CDMに対するリスク座位をCFA31の領域に対してマッピングした。本発明者らは、この染色体領域の内部で、イヌのスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子中にミスセンス突然変異(E40K)を発見し、そのKアレルがいくつかの他の品種でもよくみられることを観察した。さらに、本発明者らは、Kアレルのホモ接合性がCDMに対する重大な遺伝的危険因子であることを実証した。ブリーダーおよび飼い主にとって、「リスクのある」動物、ならびに本疾患を後の世代に伝える可能性のある動物を同定しうることには大きな意義がある。高リスクアレルに対する遺伝マーカーは、CDM診断を容易にすると考えられる。これらのマーカーはまた、ブリーダーが、CDMを発症するリスクが大きく低下した子犬を生むと考えられる交配を選択することも可能にすると考えられる。ヒトSOD1遺伝子におけるミスセンス突然変異は、CDMと多くの臨床的および病理学的な類似性を備える疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こす。このため、CDMを有するイヌは、ヒト疾患であるALSの有望な動物モデルである。DMAマーカーは、Aアレルに関してホモ接合性であり、それ故に基礎をなす疾患機序を調べるための、またはALSもしくはCDMに対する有望な治療法を評価するための動物モデルとして用いることができるイヌを同定する一助となることができる。]
[0016] II.イヌ変性性脊髄症(CDM)
イヌ変性性脊髄症(慢性変性性神経根脊髄症としても知られる)は、ジャーマン・シェパード、ボクサー、ローデシアン・リッジバック、チェサピーク・ベイ・レトリーバー、ペンブローク(Pemroke)およびカーディガン(Cardigan)ウェルシュ・コーギー、ならびに他の純血種および交雑種のイヌで蔓延している神経疾患である。本疾患は慢性かつ進行性であり、動物における跛行をもたらす恐れがあり、ついには死亡をもたらすことがある。]
[0017] 本疾患は通常、7歳から14歳までの間に症状が発現し、最初は後肢を冒して、筋力の低下および損失ならびに協調不全を引き起こす。これらはよろめき作用を引き起こし、それが関節炎のように見えることもある。イヌが歩く時に一方または両方の後ろ足を引きずることもある。この足ずりは、一方の足先の爪がすり減る原因になることがある。ついには病状が、後肢の広範な麻痺を招くこともある。疾患が進行にするにつれて、動物は歩行がかなり困難になり始め、ついには後肢が用を果たさなくなり、その時点では安楽死が唯一の選択肢となることもある。安楽死を遅らせると、臨床徴候が進行して前肢を冒すようになる。本疾患の進行は一般に緩徐である。動物は数カ月以内に肢体不自由となる恐れがあり、比較的小型の品種のものは最長で3年ほど生存する可能性があるが、これは比較的小型のイヌは飼い主が容易に運べるために彼らが安楽死を遅らせることができるためである。]
[0018] 変性性脊髄症の診断を受け入れる前には、脊髄機能不全の公知の原因を除外すべきである;頸椎椎間板疾患(突出または断裂)は、変性性脊髄症の徴候のすべてを伴う脊髄の挫傷および圧迫を引き起こす恐れがある。イヌ変性性脊髄症は、脊髄の病理組織学検査のみによって診断可能である。病変は、脊髄のすべての索(funciuli)においてグリオーシスによって置き換えられた軸索およびミエリンの損失を示し、それは胸髄の中央部から尾部にかけての側索の背側部において最も重症である。]
[0019] これは治癒不能な慢性病状である;しかし、適正な運動および栄養補給のプログラムを通じて、イヌの生活の質を一時的に維持させることができる可能性がある。変性性脊髄症の進行を変化させる有効な治療法として証明されたものはない。運動はイヌが歩行する能力を維持させるために推奨されており、物理療法(physiotherapy)はイヌが移動能力を保っている期間を延長させ、生存期間を増大させる可能性がある。イヌの水治療法(水泳)は歩行よりも有用な可能性がある。米国食品医薬品局(FDA)によって承認されてはいないものの、アミノカプロン酸(EACA)およびn-アセチルシステイン(NAC)が進行を変化させると考える人達もいる。]
[0020] III.スーパーオキシドジスムターゼ
酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、スーパーオキシドの酸素および過酸化水素への不均化を触媒する。このため、これは酸素に曝露されるほとんどすべての細胞において重要な抗酸化防御手段である。SODにより触媒されるスーパーオキシドの不均化は以下の半反応によって記述しうる:

式中、M=Cu(n=1);Mn(n=2);Fe(n=2);Ni(n=2)である。この反応において、金属カチオンの酸化状態はnとn+1との間を揺れ動く。]
[0021] SODは以前は、機能が不明ないくつかの金属タンパク質として知られていた(例えば、CuZnSODはエリスロクプレインとして知られていた)。SODにはいくつかの一般的な形態が存在し、銅および亜鉛、またはマンガン、鉄もしくはニッケルを補因子とする。]
[0022] ニワトリ肝臓(およびほぼすべての他の)ミトコンドリア、および多くの細菌(大腸菌(E. coli)など)は、マンガンを伴う形態(Mn-SOD)を含む。マンガンイオンのリガンドは、3つのヒスチジン側鎖、1つのアスパラギン酸側鎖、およびMn酸化状態(それぞれIIおよびIII)に応じた1つの水分子またはヒドロキシリガンドである。大腸菌および多くの他の細菌は、鉄を伴う酵素の形態(Fe-SOD)も含む;細菌の中にはFe-SODを含むものもあれば、Mn-SODを含むものもあり、両方を含むものもある。MnスーパーオキシドジスムターゼおよびFeスーパーオキシドジスムターゼの活性部位は同じ種類のアミノ酸側鎖を含む。ヒトでは、3つの形態のスーパーオキシドジスムターゼが存在する。SOD1は細胞質中に、SOD2はミトコンドリア中に、SOD3は細胞外に位置する。最初のものは二量体であり(2つの単位からなる)、他のものは四量体である(4つのサブユニット)。SOD1およびSOD3は銅および亜鉛を含み、一方、SOD2はマンガンをその反応中心に含む。それらの遺伝子はそれぞれヒトの第21番染色体、第6番染色体および第4番染色体上に位置する(21q22.1、6q25.3および4p15.3-p15.1)。SOD用のマイクロタイタープレートアッセイが入手可能である。]
[0023] A.SOD1の機能
事実上すべての真核細胞のサイトゾルは、銅および亜鉛を伴うSOD酵素(Cu-Zn-SOD)を含む。Cu-Zn酵素は分子量32,500のホモ二量体である。2つのサブユニットは主として疎水的および静電的な相互作用によって連結している。銅および亜鉛のリガンドはヒスチジン側鎖である。]
[0024] 端的に述べると、SODの外側はスーパーオキシドの有害反応と競合し、その結果、細胞をスーパーオキシドの毒性から防御する。スーパーオキシドと非ラジカルとの反応はスピン禁制下(spin forbidden)にある。生体系において、このことは、その主反応がそれ自体(不均化)との、または酸化窒素(NO)などの別の生体ラジカルとのものであることを意味する。スーパーオキシドアニオンラジカル(O2-)は、極めて急速(pH 7でほぼ105M-1s-1)にO2および過酸化水素(H2O2)に自発的に不均化する。SODは生物学的に必要であるが、これはスーパーオキシドがNOラジカルなどのある種の標的とさらに速く反応してペルオキシ亜硝酸を生じるためである。同様に、不均化速度は初期スーパーオキシド濃度に関して二次である。このため、スーパーオキシドの半減期は、高濃度では非常に短い(例えば、0.1mMでは0.05秒)が、低濃度では実際のところ極めて長い(例えば、0.1nMでは14時間)。対照的に、スーパーオキシドとSODとの反応はスーパーオキシド濃度に関して一次である。さらに、スーパーオキシドはあらゆる既知の酵素の中で代謝回転数(その基質との反応速度。この反応はそれ自体とスーパーオキシドとの間の衝突の頻度のみによって限定される)が最も高い(ほぼ109M-1s-1)。すなわち、反応速度は「拡散律速性」である。]
[0025] B.疾患におけるSOD1
SOD1における突然変異は、家族性の筋萎縮性側索硬化症(ALS、運動ニューロン疾患の一形態)と関連づけられている。他の2つの型はいかなるヒト疾患とも関連づけられていないが、マウスでのSOD2の不活性化は周産期致死を引き起こし、SOD1の不活性化は肝細胞癌を引き起こす。SOD1における突然変異は、酵素活性の損失によってではなく、現在は解明されていない機序によって家族性ALSを引き起こす恐れがある。SOD1の過剰発現はダウン症候群と関連づけられている。本研究の前に、イヌSOD1はいかなる特定の疾患状態とも関連づけられていない。]
[0026] C.イヌSOD1タンパク質およびcDNAの構造
野生型イヌcDNAコード配列:]
[0027] 変異体イヌcDNAコード配列:]
[0028] 予想される野生型アミノ酸配列:]
[0029] 予想される変異体アミノ酸配列:]
[0030] IV.イヌSOD1の遺伝学的スクリーニング
遺伝子変異体がSOD1遺伝子のコード領域内にあって、コードされるタンパク質に影響を及ぼすことから、E40K多型の存在は、SOD1タンパク質の配列、SOD1核酸の配列、またはE40K多型と連鎖不平衡にある遺伝マーカーのいずれかから決定することができる。その結果として、種々の異なる方法を用いることができる。]
[0031] A.核酸
本発明のある態様は、ゲノムDNA、cDNAまたはmRNA転写物の分析に関与する増幅プライマー、オリゴヌクレオチドプローブおよび他の核酸エレメントの使用を含む、核酸の分析にかかわる。「核酸」という用語は当技術分野において周知である。本明細書で用いる「核酸」は一般に、ヌクレオチド塩基によって一部が構成されるDNAまたはRNAの分子(すなわち、鎖)のことを指す。核酸塩基には、例えば、DNA中に見いだされる天然に存在するプリンまたはピリミジン塩基(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」またはシトシン「C」)またはRNA中のそれ(例えば、A、G、ウラシル「U」またはC)が含まれる。「核酸」という用語は、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語のそれぞれを「核酸」という用語の亜属として含む。「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さが約3〜約100核酸塩基である分子のことを指す。「ポリヌクレオチド」という用語は、長さが約100核酸塩基よりも大きい少なくとも1つの分子のことを指す。「遺伝子」とは、遺伝子産物のコード配列のほかに、遺伝子産物のイントロンおよびプロモーターのことも指す。]
[0032] いくつかの態様において、本発明の核酸は、イヌSOD1のcDNA配列の118位にGまたはAのいずれかを有するイヌSOD1配列の、全体もしくは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、1165、1200、1300、1400、1500個もしくはそれ以上の連続したヌクレオチド、もしくはその中で導き出せる任意の範囲を含むか、またはそれらに対して相補的である。当業者は、プライマーおよびプローブを実現するために必要な相同性の限界を含め、ハイブリダイゼーションおよび増幅のためのプライマーおよびプローブをいかにして設計および使用するかを承知している。]
[0033] これらの定義は一般に一本鎖分子のことを指すが、特定の態様においては、一本鎖分子に対して部分的に、実質的にまたは完全に相補的である追加の鎖も範囲に含むと考えられる。したがって、核酸は、ある分子を含む特定の配列の1つまたは複数の相補鎖または「相補物」を含む、二本鎖分子または三本鎖分子も範囲に含みうる。本明細書で用いる場合、一本鎖核酸は接頭辞「ss」によって、二本鎖核酸は接頭辞「ds」によって、および三本鎖核酸は接頭辞「ts」によって表記することもある。]
[0034] 特定の局面において、核酸はタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする。ある態様において、本発明は、少なくとも1つのタンパク質性分子を含む新規組成物にかかわる。本明細書で用いる場合、「タンパク質性分子」、「タンパク質性組成物」、「タンパク質性化合物」、「タンパク質性鎖」または「タンパク質性材料」は一般に、約200アミノ酸を上回るタンパク質、または遺伝子から翻訳された完全長内因性配列;約100アミノ酸を上回るポリペプチド;および/または約3〜約100アミノ酸のペプチドのことを指すが、これらには限定されない。上記の「タンパク質性」の用語はすべて、本明細書において互換的に用いうる。]
[0035] 1.核酸の調製
核酸は、例えば化学合成、酵素的生成または生物的生産といった当業者に公知の任意の手法によって作製することができる。合成核酸(例えば、合成オリゴヌクレオチド)の非限定的な例には、ホスホトリエステル、ホスファイトもしくはホスホロアミダイト化学を用いたインビトロ化学合成、および参照により本明細書に組み入れられる欧州特許第266,032号に開示されている固相法、またはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられるFroehler et al., 1986および米国特許第5,705,629号によって記載されているデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を介して作製された核酸が含まれる。本発明の方法には、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを用いることができる。オリゴヌクレオチド合成のさまざまな異なる機序は、例えば、米国特許第4,659,774号、第4,816,571号、第5,141,813号、第5,264,566号、第4,959,463号、第5,428,148号、第5,554,744号、第5,574,146号、第5,602,244号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。]
[0036] 酵素的に生成された核酸の非限定的な例には、PCR(商標)などの増幅反応(例えば、米国特許第4,683,202号および第4,682,195号を参照、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,645,897号に開示されているオリゴヌクレオチドの合成において酵素によって生成されたものが含まれる。生物的に生産された核酸の非限定的な例には、生細胞において生産された(すなわち、複製された)組換え核酸、例えば、細菌において複製された組換えDNAベクターが含まれる(例えば、Sambrook et al. 2001を参照、これは参照により本明細書に組み入れられる)。]
[0037] 2.核酸の精製
核酸は、ポリアクリルアミドゲル、塩化セシウム遠心勾配、クロマトグラフィーカラムまたは当業者に公知の任意の他の手段によって精製することができる(例えば、Sambrook et al. 2001を参照、これは参照により本明細書に組み入れられる)。いくつかの局面において、核酸は薬理学的に許容される核酸である。薬理学的に許容される組成物は当業者に公知であり、本明細書に記載されている。]
[0038] ある局面において、本発明は、単離された核酸である核酸にかかわる。本明細書で用いる場合、「単離された核酸」という用語は、1つまたは複数の細胞のゲノム核酸および転写された核酸の全体のうち大部分を含まないように単離されたか、または他の様式でそれを含まない核酸分子(例えば、RNAまたはDNA分子)のことを指す。ある態様において、「単離された核酸」は、例えば脂質もしくはタンパク質などの高分子、小型生体分子のような細胞成分またはインビトロ反応成分の大部分を含まないように単離されたか、または他の様式でそれを含まない核酸のことを指す。]
[0039] 3.核酸セグメント
ある態様において、核酸は核酸セグメントである。本明細書で用いる場合、「核酸セグメント」という用語は、例えば非限定的な例としては、遺伝子座または遺伝子配列の一部のみをコードするもののような、核酸の断片である。したがって、「核酸セグメント」には、約2ヌクレオチドのものから、プロモーター領域からポリアデニル化シグナルまでを含む完全長遺伝子、およびすべてのコード領域を含む任意の長さのものまでを含む、遺伝子配列の任意の部分が含まれうる。]
[0040] さまざまな核酸セグメントを特定の核酸配列に基づいて設計することができ、それは任意の長さでありうる。例えば、第1の残基は1であり、第2の残基は2であるというように配列に数値を割り当てることによって、すべての核酸セグメントを定義するアルゴリズムを作成することができる:
nからn+yまで
式中、nは1からその配列の最後の番号までの整数であって、yは核酸セグメントの長さから1を差し引いたものであり、ここでn+yはその配列の最後の番号を超えない。したがって、10-merについては、核酸セグメントは塩基1〜10、2〜11、3〜12などに対応する。15-merについては、核酸セグメントは塩基1〜15、2〜16、3〜17などに対応する。20-merについては、核酸セグメントは塩基1から20まで、2から21まで、3から22までなどに対応する。ある態様において、核酸セグメントはプローブまたはプライマーでありうる。本明細書で用いる場合、「プローブ」は一般に、検出方法または組成物において用いられる使用される核酸のことを指す。本明細書で用いる場合、「プライマー」は一般に、伸長もしくは増幅の方法または組成物において用いられる核酸のことを指す。]
[0041] 4.核酸相補物
本発明はまた、核酸に対して相補的な核酸も範囲に含む。核酸は、標準的なワトソン-クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の結合相補則に従って別の核酸と塩基対を形成することが可能である場合、別の核酸に対して「相補物」または「相補的」である。本明細書で用いる場合、「別の核酸」は、別個の分子、または同一分子の空間的に隔たった配列のことを指すことができる。好ましい態様において、相補物は、核酸多型の検出のためのハイブリダイゼーションプローブまたは増幅プライマーである。]
[0042] 本明細書で用いる場合、「相補的」または「相補物」という用語は、たとえすべてよりも少ない核酸塩基が相手の核酸塩基と塩基対を形成しなくても、別の核酸鎖または二重鎖とハイブリダイズすることが可能である、連続的な核酸塩基または半連続的な核酸塩基(例えば、1つまたは複数の核酸塩基モイエティがその分子内に存在しない)の配列を含む核酸のことも指す。しかし、いくつかの診断または検出の態様においては、完全に相補的な核酸が好ましい。]
[0043] 5.核酸の検出および評価
当業者は、核酸分子が二本鎖分子でありうること、および1つの鎖上の特定の部位に対する言及はまた、相補鎖上の対応する部位に対する言及も指すことを直ちに理解するであろう。すなわち、多型部位の定義において、核酸分子のプラス(センスまたはコード)鎖上の特定の部位にあるアデニン、チミン(ウリジン)、シトシン、グアニンに対する言及はまた、核酸分子の相補鎖のマイナス(アンチセンスまたは非コード)鎖上の対応する部位にあるチミン(ウリジン)、アデニン、グアニンまたはシトシン(それぞれ)も含むものとする。したがって、言及をいずれの鎖に対して行っても、同じ多型部位を含めることができ、オリゴヌクレオチドをいずれかの鎖にハイブリダイズするように設計することができる。本文の全体を通じて、多型部位の同定において、言及はセンス鎖に対してなされるが、これは便宜のために過ぎない。]
[0044] 典型的には、参照により本明細書に組み入れられる、Jones(1963)に開示されているような標準的な手法を用いて、核酸混合物を、個体から採取した生体試料、例えば血液試料または組織試料などから単離する。適した組織試料には、全血、精液唾液、涙液、尿、糞便、汗、頬粘膜、皮膚および毛が含まれる。核酸混合物はゲノムDNA、mRNAまたはcDNAで構成されてよく、後者の2つの場合には、SOD1遺伝子が発現される臓器から生体試料を入手しなければならない。さらに、mRNAまたはcDNA調製物は、イントロンまたは5'および3'非翻訳領域に位置する多型を検出するためには用いられないことは当業者には理解されるであろう。SOD1遺伝子断片を単離する場合には、それは遺伝子型判定を行おうとする多型部位を含まなければならない。]
[0045] 本発明に用いられる遺伝子型判定の方法において、多型部位にあるヌクレオチド(またはヌクレオチド対)の実体は、多型部位を含む標的領域を、個体に存在するSOD1遺伝子の一方または両方のコピーから直接増幅し、増幅された領域の配列を従来の方法によって決定することによって決定することができる。多型部位では、その部位でホモ接合性である個体では1つのヌクレオチドのみが検出されるが、一方、個体がその部位に関してヘテロ接合性である場合には2つの異なるヌクレオチドが検出されると考えられることが、当業者には直ちに分かるであろう。多型は、陽性型同定として知られるように直接同定されることもあれば、または陰性型同定と呼ばれるように推論によって同定されることもある。例えば、SNPが参照集団においてグアニンおよびシトシンであることが知られている場合には、ある部位が、その部位でホモ接合性である個体についてはグアニンまたはシトシンのいずれかであることを、または個体がその部位でヘテロ接合性であるならばグアニンおよびシトシンの両方であることを、陽性に判定することができる。または、その部位が、グアニンでないこと(それ故にシトシン/シトシンであること)またはシトシンでないこと(それ故にグアニン/グアニンであること)を陰性に判定することもできる。]
[0046] 標的領域は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4,965,188号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany et al., 1991;WO90/01069号)およびオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(Landegren et al., 1988)を非限定的に含む、任意のオリゴヌクレオチド特異的(directed)増幅方法を用いて増幅させることができる。この種の方法においてプライマーまたはプローブとして有用なオリゴヌクレオチドは、多型部位を含むかそれに隣接する核酸領域と特異的にハイブリダイズすべきである。典型的には、オリゴヌクレオチドは長さが10〜35ヌクレオチドであり、好ましくは長さが15〜30ヌクレオチドである。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは20〜25ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドの厳密な長さは、当業者が日常的に考慮し、実践している多くの要因に依存すると考えられる。]
[0047] 転写に基づく増幅系(米国特許第5,130,238号;EP 329,822号;米国特許第5,169,766号、WO89/06700号)および等温法(Walker et al., 1992)を含む、他の公知の核酸増幅手順を、標的領域を増幅させるために用いることもできる。]
[0048] また、標的領域における多型を、当技術分野において公知であるいくつかのハイブリダイゼーションに基づく方法の1つを用いた増幅の前または後にアッセイすることもできる。典型的には、そのような方法の実施においては、アレル特異的オリゴヌクレオチドを利用する。アレル特異的オリゴヌクレオチドは、対の一方のメンバーが標的配列の1つの変異体と完全なマッチを示し、もう一方のメンバーが異なる変異体と完全なマッチを示す、異なる標識がなされたプローブ対として用いることができる。いくつかの態様においては、アレル特異的オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド対のセットを用いて、複数の多型部位を一度に検出することができる。]
[0049] 標的ポリヌクレオチドに対するアレル特異的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、両方のものが溶液中にある形で行ってもよく、またはそのようなハイブリダイゼーションを、オリゴヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドのいずれかを固体支持体に共有結合的または非共有結合的に固定させて行うこともできる。結び付けは、例えば、抗体-抗原相互作用、ポリ-L-Lys、ストレプトアビジンまたはアビジン-ビオチン、塩架橋、疎水性相互作用、化学的連結、UV架橋ベーキングなどによって媒介されうる。アレル特異的オリゴヌクレオチドは固体支持体上に直接合成してもよく、または合成後に固体支持体に結び付けてもよい。本発明の検出方法に用いるのに適した固体支持体には、ケイ素、ガラス、プラスチック、紙などでできた基質が含まれ、それらを例えば、ウェル(96ウェルプレートのような)、スライド、シート、膜、繊維、チップ、皿およびビーズへと成形することができる。アレル特異的オリゴヌクレオチドまたは標的核酸の固定化を容易にするために、固体支持体を処理すること、コーティングすること、または誘導体化することもできる。]
[0050] また、個体の遺伝子中の1つまたは複数の多型部位に関する遺伝子型を、WO 95/11995号に記載されたような核酸アレイおよびサブアレイに対する、遺伝子の一方または両方のコピー、またはそれらの断片のハイブリダイゼーションによって判定することもできる。アレイは、遺伝子型またはハプロタイプに含めようとする多型部位のそれぞれを代表するアレル特異的オリゴヌクレオチドのひと揃いを含むと考えられる。]
[0051] また、多型の実体を、リボプローブ(Winter et al., 1985;Meyers et al., 1985)、およびヌクレオチドミスマッチを認識するタンパク質、例えば大腸菌mutSタンパク質(Modrich, 1991)などを用いるRNアーゼ保護法を非限定的に含む、ミスマッチ検出手法を用いて決定することもできる。または、変異体アレルを、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析(Orita et al., 1989;Humphries, et al., 1996)または変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Wartell et al., 1990;Sheffield et al, 1989)によって同定することもできる。]
[0052] また、ポリメラーゼを介したプライマー伸長法を、多型を同定するために用いることもできる。そのようないくつかの方法は特許および科学文献に記載されている。多型を含む伸長したプライマーは、米国特許第5,605,798号に記載されているように質量分析によって検出することができる。もう1つのプライマー伸長方法は、アレル特異的PCRである(Ruano et al., 1989;Ruano et al., 1991;WO 93/22456号;Turki et al., 1995)。]
[0053] a.ハイブリダイゼーション
長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18, 19、20、21、22、23、24、25、50、60、70、80、90もしくは100ヌクレオチドの間、好ましくは17〜100ヌクレオチドであり、または本発明のいくつかの局面においては長さが最大1〜2キロベースもしくはそれ以上である、プローブまたはプライマーの使用は、安定かつ選択的である二重鎖分子の形成を可能にする。得られるハイブリッド分子の安定性および/または選択性を高めるためには、長さが20塩基を上回る一続きの連鎖にわたって相補的配列を有する分子が好ましい。20〜30ヌクレオチドまたは所望であればさらに長い1つまたは複数の相補的配列を有する、ハイブリダイゼーション用の核酸分子を設計することが一般に好ましいと考えられる。そのような断片は、例えば、化学的手段によって断片を直接合成することにより、または選択した配列を組換え体生産のために組換えベクターに導入することにより、容易に調製することができる。]
[0054] このように、本発明のヌクレオチド配列は、DNAおよび/もしくはRNAの相補的連鎖と二重鎖分子を選択的に形成する能力、または試料からのDNAもしくはRNAの増幅のためのプライマーを提供する能力のために用いることができる。想定される用途によっては、標的配列に対するプローブまたはプライマーのさまざまな度合いの選択性を実現するために、さまざまなハイブリダイゼーション条件を用いることが望ましいと考えられる。]
[0055] 高い選択性を要する用途のためには、典型的には、ハイブリッドを形成させるために比較的高いストリンジェンシー条件を用いることが望ましいと考えられる。例えば、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.10MのNaClによって得られるような、比較的低塩および/または高温の条件である。そのような高ストリンジェンシー条件は、プローブまたはプライマーとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチを、仮にあるとしてもほとんど許容せず、特定の遺伝子を単離するため、または特定の多型を検出するために特に適していると考えられる。添加するホルムアミドの量を増やすことによって、条件をよりストリンジェントにさせうることは一般に認識されている。例えば、高度にストリンジェントな条件下において、フィルターに結合させたDNAに対するハイブリダイゼーションを0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMEDTA中にて65℃で行い、洗浄を0.1×SSC/0.1%SDS中にて68℃で行うことができる(Ausubel et al., 1989)。]
[0056] 塩濃度を高めること、および/または温度を低下させることによって、条件をより低ストリンジェントにすることもできる。例えば、中程度のストリンジェンシー条件は、約37℃〜約55℃の温度で約0.1〜0.25MのNaClによって得ることができ、一方、低ストリンジェンシー条件は、約20℃〜約55℃の範囲の温度で約0.15M〜約0.9Mの塩によって得ることができると考えられる。中程度のストリンジェント条件のような低ストリンジェント条件において、洗浄は例えば、0.2×SSC/0.1%SDS中にて42℃で行うことができる(Ausubel et al, 1989)。ハイブリダイゼーション条件は、所望の結果に応じて容易に操作することができる。]
[0057] 他の態様において、ハイブリダイゼーションを、例えば、およそ20℃〜約37℃の温度で、50mM Tris-HCl(pH 8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、1.0mMジチオトレイトールの条件下で行うこともできる。利用しうると考えられる他のハイブリダイゼーション条件には、およそ40℃〜約72℃の範囲の温度での、およそ10mMのTris-HCl(pH 8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2が含まれうる。]
[0058] ある態様においては、本発明の定義された配列の核酸を、ハイブリダイゼーションを判定するための適切な手段、例えば標識などと組み合わせて用いることが有利であると考えられる。多岐にわたる適した指標手段が当技術分野において公知であり、これには、検出が可能な、蛍光性リガンド、放射性リガンド、酵素性リガンドまたは他のリガンド、例えばアビジン/ビオチンなどが含まれる。好ましい態様においては、放射性試薬または環境的に望ましくない他の試薬の代わりに、蛍光性標識、またはウレアーゼ、アルカリホスファターゼもしくはペルオキシダーゼなどの酵素タグを用いることが望ましいであろう。酵素タグの場合には、相補的核酸を含む試料との特異的ハイブリダイゼーションを同定するための、目視的または分光光学的に検出可能な検出手段を与えるために用いることができる比色指標基質が知られている。他の局面において、特定のヌクレアーゼ切断部位が存在していて、特定のヌクレオチド配列の検出を核酸切断の有無によって判定することができてもよい。]
[0059] 一般に、本明細書に記載されたプローブまたはプライマーは、対応する遺伝子の発現または遺伝子型の検出のための、PCRにおけるような溶液ハイブリダイゼーションに加えて、固相を用いる態様においても、試薬として有用と考えられることを想定している。固相を伴う態様においては、被験DNA(またはRNA)を、選択したマトリックスまたは表面に吸着させるか、または他の様式で固定させる。この固定された一本鎖核酸を、続いて、所望の条件下で、選択したプローブとのハイブリダイゼーションに供する。選択される条件は、個々の状況に依存すると考えられる(例えば、G+C含量、標的核酸の種類、核酸の供給源、ハイブリダイゼーションプローブのサイズなどに依存する)。関心対象の個々の用途に対するハイブリダイゼーション条件の最適化は当業者に周知である。非特異的に結合したプローブ分子を除去するための、ハイブリダイズした分子の洗浄後に、結合した標識の量を決定することによって、ハイブリダイゼーションを検出および/または定量化する。代表的な固相ハイブリダイゼーション法は、米国特許第5,843,663号、第5,900,481号および第5,919,626号に開示されている。本発明の実施において用いることのできる他のハイブリダイゼーションの方法は、米国特許第5,849,481号、第5,849,486号および第5,851,772号に開示されている。本明細書のこの項で特定しているこれらおよび他の参考文献の該当部分は、参照により本明細書に組み入れられる。]
[0060] b.核酸の増幅
増幅用のテンプレートとして用いられる核酸は、細胞、組織または他の試料から、標準的な方法に従って単離することができる(Sambrook et al., 2001)。ある態様において、分析は、テンプレート核酸を実質的に精製した上で、またはそれをせずに、全細胞または組織ホモジネートまたは生体液試料に対して行われる。核酸はゲノムDNAでもよく、または分画RNAもしくは全細胞RNAでもよい。RNAを用いる場合には、RNAをまず相補的DNAに変換することが望ましいであろう。]
[0061] 「プライマー」という用語は、本明細書で用いる場合、テンプレート依存的プロセスにおいて新生核酸の合成のプライミングを行うことのできる任意の核酸を範囲に含むものとする。典型的には、プライマーは、長さが10〜20および/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列を用いることもできる。プライマーは二本鎖および/または一本鎖の形態で提供することができるが、一本鎖形態の方が好ましい。]
[0062] SOD1遺伝子座、その変異体および断片に対応する核酸と選択的にハイブリダイズするように設計されたプライマーの対を、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、テンプレート核酸と接触させる。所望の用途に応じて、プライマーに対して完全に相補的な配列に対するハイブリダイゼーションのみを可能にする、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を選択してもよい。他の態様において、ハイブリダイゼーションを、プライマー配列に対して1つまたは複数のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にするために、より低いストリンジェンシーで行ってもよい。ひとたびハイブリダイズしたら、テンプレート-プライマー複合体を、テンプレート依存的な核酸合成を促す1つまたは複数の酵素と接触させる。「サイクル」とも称される複数回の増幅を、十分な量の増幅産物が生成されるまで行う。]
[0063] 増幅産物は、検出、分析または定量することができる。ある用途において、検出は目視的手段によって行うことができる。ある用途において、検出は、組み込まれた放射性標識もしくは蛍光標識の化学発光、放射性シンチグラフィーを介した、または電気および/もしくは熱インパルスシグナルを用いるシステムを介した、産物の間接的同定を伴ってもよい(Affymax technology;Bellus, 1994)。]
[0064] 所与のテンプレート試料中に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅させるために、さまざまなテンプレート依存的プロセスを利用することができる。最もよく知られた増幅方法の1つは、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号ならびにInnis et al., 1988に詳細に記載されているポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と称される)であり、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。]
[0065] 増幅のためのもう1つの方法は、欧州特許出願第320 308号に開示されているリガーゼ連鎖反応(「LCR」)であり、これもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列と結合させるための、LCRに類似した方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示されている、PCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)(以下により詳細に説明する)を用いることもできる。]
[0066] 本発明の実施において用いることのできる標的核酸配列の増幅のための代替的な方法は、米国特許第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号および第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号、ならびにPCT出願第PCT/US89/01025号に開示されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。PCT出願第PCT/US87/00880号に記載されているQβレプリカーゼ(Qbeta Replicase)を、本発明の増幅方法として用いることもできる。]
[0067] 制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含む標的分子の増幅を実現するために制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いる等温増幅法も、本発明における核酸の増幅に有用でありうる(Walker et al, 1992)。米国特許第5,916,779号に開示されている鎖置換増幅法(SDA)は、複数回の鎖置換および合成、すなわちニックトランスレーションを伴う核酸の等温増幅を行うもう1つの方法である。]
[0068] 他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)が含まれ、これには核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる(Kwoh et al., 1989;PCT出願第WO 88/10315号、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。欧州特許出願第329 822号は、本発明に従って用いることのできる、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNAおよび二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する核酸増幅プロセスを開示している。]
[0069] PCT出願第WO 89/06700号(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)は、プロモーター領域/プライマー配列と標的一本鎖DNA(「ssDNA」)とのハイブリダイゼーション、およびその後の配列の多数のRNAコピーの転写に基づく、核酸配列増幅方式を開示している。この方式はサイクル的ではなく、すなわち、結果的に生じるRNA転写物から新たなテンプレートは生成されない。他の増幅方法には、「RACE」および「片側(one-sided)PCR」(Frohman, 1990;Ohara et al., 1989)が含まれる。]
[0070] c.核酸の検出
いかなる増幅の後にも、テンプレートおよび/または余分なプライマーから増幅産物を分離することが望ましいであろう。1つの態様において、増幅産物は、標準的な方法を用いるアガロース電気泳動、アガロース-アクリルアミド電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される(Sambrook et al., 2001)。分離された増幅産物を、さらなる操作のためにゲルから切り出して溶出させることもできる。低融点アガロースゲルを用いることで、分離されたバンドをゲルを加熱することによって取り出し、その後に核酸を抽出することもできる。]
[0071] また、核酸の分離を、当技術分野において公知のスピンカラムおよび/またはクロマトグラフィー手法によって行わせることもできる。本発明の実施において用いることのできる多くの種類のクロマトグラフィーが存在し、これには吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィー、さらにはHPLCが含まれる。]
[0072] ある態様において、増幅産物は、分離した上で、または分離せずに可視化される。典型的な可視化の方法は、臭化エチジウムによるゲルの染色およびUV光下でのバンドの可視化を伴う。または、増幅産物が放射性または蛍光定量的に標識されたヌクレオチドにより一体化して標識されている場合には、分離された増幅産物をx線フィルムに曝露させること、または適した励起スペクトル下で可視化することができる。]
[0073] 1つの態様においては、増幅産物の分離後に、標識された核酸プローブを、増幅されたマーカー配列と接触させる。プローブは発色団とコンジュゲートされていることが好ましいが、放射性標識されていてもよい。もう1つの態様において、プローブは、抗体もしくはビオチンなどの結合パートナー、または検出可能なモイエティを保有する別の結合パートナーとコンジュゲートされている。]
[0074] 特定の態様において、検出は、サザンブロット法および標識されたプローブを用いたハイブリダイゼーションによる。サザンブロット法に伴う手法は当業者に周知である(Sambrook et al., 2001を参照)。前記のものの一例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,279,721号に記載されており、これは核酸の自動化された電気泳動および移行のための装置および方法を開示している。この装置は、ゲルの外部での操作を行わずに電気泳動およびブロッティングを行うことを可能にし、本発明による方法を行うには理想的に適している。]
[0075] 本発明の実施において用いることのできるその他の核酸検出方法は、米国特許第5,840,873号、第5,843,640号、第5,843,651号、第5,846,708号、第5,846,717号、第5,846,726号、第5,846,729号、第5,849,487号、第5,853,990号、第5,853,992号、第5,853,993号、第5,856,092号、第5,861,244号、第5,863,732号、第5,863,753号、第5,866,331号、第5,905,024号、第5,910,407号、第5,912,124号、第5,912,145号、第5,919,630号、第5,925,517号、第5,928,862号、第5,928,869号、第5,929,227号、第5,932,413および第5,935,791号に開示されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。]
[0076] d.その他のアッセイ
遺伝学的スクリーニングのためのその他の方法を、例えば、ゲノムDNA、cDNAおよび/またはRNA試料における突然変異を検出するために、本発明の範囲内で用いることもできる。点突然変異を検出するために用いられる方法には、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、制限断片長多型分析(RFLP)、化学的または酵素的な切断法、PCR(商標)によって増幅された標的領域の直接シークエンシング(上記参照)、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)および当技術分野において周知の他の方法が含まれる。]
[0077] 点突然変異に関するスクリーニングの1つの方法は、RNA/DNAまたはRNA/RNAヘテロ二重鎖における塩基対ミスマッチのRNアーゼ切断に基づく。本明細書で用いる場合、「ミスマッチ」という用語は、二本鎖のRNA/RNA、RNA/DNAまたはDNA/DNA分子における1つまたは複数の不対合(unpaired)または誤対合(mispaired)ヌクレオチドの領域と定義される。したがって、この定義は、挿入/欠失突然変異、ならびに単一塩基または複数塩基の点突然変異に起因するミスマッチを含む。]
[0078] 米国特許第4,946,773号は、一本鎖DNAまたはRNA被験試料をRNAプローブとアニーリングさせて、その後に核酸二重鎖をRNアーゼAで処理することを伴う、RNアーゼAミスマッチ切断アッセイを記載している。ミスマッチの検出のためには、サイズに応じて電気泳動で分離されたRNアーゼ処理による一本鎖産物を、同様に処理した対照二重鎖と比較する。対照二重鎖には認められない、より小さい断片(切断産物)を含む試料を陽性として記録する。]
[0079] 他の研究者らが、ミスマッチアッセイにおけるRNアーゼIの使用を記載している。ミスマッチ検出のためのRNアーゼIの使用は、Promega Biotech社による文献中に記載されている。Promega社は、4種の公知のミスマッチのうち3種を切断することが報告されているRNアーゼIを含むキットを販売している。他のものは、単一塩基のミスマッチの検出のためにMutSタンパク質または他のDNA修復酵素を用いることを記載している。]
[0080] 本発明の実施において用いることのできる、欠失、挿入または置換突然変異の検出のための代替的な方法は、米国特許第5,849,483号、第5,851,770号、第5,866,337号、第5,925,525号および第5,928,870号に開示されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。]
[0081] e.多型核酸のスクリーニング方法の具体的な例
進化の過程において生物のゲノム中に生じる自然突然変異は、多くの場合、その種のメンバーのすべてに直ちに伝播されることはなく、その結果、その種の集団内に共存する多型アレルが生み出される。往々にして、多型は遺伝性疾患の原因である。多型のいくつかのクラスが同定されている。例えば、縦列反復数可変部多型(variable number tandem repeat polymorphism)(VNTR)は、ヌクレオチドの2ヌクレオチドまたは3ヌクレオチド反復モチーフの自然縦列重複によって生じる。そのような相違(variation)が、制限エンドヌクレアーゼ切断によって生じるDNA断片の長さを変化させるならば、それらの相違は制限断片長多型(RFLP)と称される。RFLPはヒトおよび動物の遺伝分析において広く用いられている。]
[0082] 多型のもう1つのクラスは、単一ヌクレオチドの置き換えによって生じる。そのような一塩基多型(SNP)は制限エンドヌクレアーゼ部位の変化をもたらすことがある。このため、SNPは時に制限断片長分析によって検出可能である。SNPは最もよくみられる遺伝的相違であって100〜300塩基毎に1つ存在し、いくつかのSNP突然変異は、タンパク質をコードする遺伝子中の単一ヌクレオチドに対して、実際に遺伝性疾患を引き起こすのに十分な様式で影響を及ぼすことが見いだされている。SNP疾患の例には、血友病、鎌状赤血球貧血、遺伝性血色素症、遅発型アルツハイマー病などがある。]
[0083] 多型をスクリーニングするためにいくつかの方法が開発されており、いくつかの例を以下に列記する。Kwok and Chen(2003)およびKwok(2001)の参考文献は、これらの方法のいくつかの概要を示している;これらの参考文献は両方とも参照により本明細書に明確に組み入れられる。]
[0084] SOD1に関係するSNPは、これらの方法のいずれかまたはそれらの適した変法の使用によって特徴づけることができる。そのような方法には、その部位の直接的もしくは間接的なシークエンシング、その部位の各々のアレルが制限部位を作り出すかもしくは破壊するような制限酵素の使用、アレル特異的ハイブリダイゼーションプローブの使用、異なる多型アレルによってコードされるタンパク質に対して特異的な抗体の使用、または任意の他の生化学的解釈が含まれる。]
[0085] i.DNAシークエンシング
多型を特徴づけるのに最もよく用いられる方法は、遺伝子座の側方に位置し、かつそれを含む遺伝子座の直接的なDNAシークエンシングである。そのような分析は、「サンガー法」としても知られる「ジデオキシ媒介連鎖停止法(dideoxy-mediated chain termination method)」(Sanger et al., 1975)、または「マクサム-ギルバート法」としても知られる「化学分解法」(Maxam et al., 1977)のいずれかを用いて実現することができる。シークエンシングとポリメラーゼ連鎖反応などのゲノム配列特異的な増幅技術との組み合わせを利用することで、所望の遺伝子の回収を容易にすることができ(Mullis et al., 1986;欧州特許出願第50,424号;欧州特許出願第84,796号、欧州特許出願第258,017号、欧州特許出願第237,362号;欧州特許出願第201,184号;米国特許第4,683,202号;第4,582,788号;および第4,683,194号)、上記のものはすべて参照により本明細書に組み入れられる。]
[0086] ii.エキソヌクレアーゼ抵抗性
多型部位に存在するヌクレオチドの実体を決定するために用いることのできる他の方法では、特化したエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド誘導体を利用する(米国特許第4,656,127号)。多型部位のすぐ3'側のアレル配列に対して相補的なプライマーを、検討対象のDNAとハイブリダイズさせる。DNA上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレオチド抵抗性ヌクレオチド誘導体に対して相補的なヌクレオチドを含むならば、その誘導体は、ハイブリダイズされたプライマーの末端にポリメラーゼによって組み込まれると考えられる。そのような組み込みは、そのプライマーをエキソヌクレアーゼ切断に対して抵抗性にし、それによってその検出を可能にする。エキソヌクレオチド抵抗性誘導体の実体は分かっているため、そのDNAの多型部位に存在する具体的なヌクレオチドを決定することができる。]
[0087] iii.マイクロシークエンシング法
DNA中の多型部位をアッセイするための、プライマーによって導かれる(primer-guided)ヌクレオチド組み込み法が、他にいくつか記載されている(Komher et al., 1989;Sokolov, 1990;Syvanen 1990;Kuppuswamy et al., 1991;Prezant et al., 1992;Ugozzoll et al., 1992;Nyren et al., 1993)。これらの方法は、多型部位での塩基間を識別するために、標識されたデオキシヌクレオチドの組み込みに依拠している。シグナルは組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドの連続物(run)に存在する多型は、連続物の長さに比例したシグナルを生じる(Syvanen et al, 1990)。]
[0088] iv.溶液中での伸長
仏国特許第2,650,840号およびPCT出願第WO91/02087号は、多型部位のヌクレオチドの実体を決定するための溶液ベースの方法を考察している。これらの方法によれば、多型部位のすぐ3'側のアレル配列に対して相補的なプライマーが用いられる。その部位のヌクレオチドの実体は、多型部位のヌクレオチドに対して相補的な場合にプライマーの末端に組み込まれる標識ジデオキシヌクレオチド誘導体を用いて決定される。]
[0089] v.遺伝子ビット(Genetic Bit)分析または固相伸長
PCT出願第WO92/15712号は、標識されたターミネーターおよび多型部位の3'側の配列に対して相補的なプライマーの混合物を用いる方法を記載している。組み込まれる標識されたターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドに対して相補的であり、それ故に同定される。この場合には、プライマーまたは標的分子は固相に対して固定化されている。]
[0090] vi.オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)
これは、異なる方法を用いる別の固相法である(Landegren et al., 1988)。標的DNAの一本鎖の隣接配列とハイブリダイズしうる2つのオリゴヌクレオチドが用いられる。これらのオリゴヌクレオチドの一方はビオチン化され、もう一方は検出可能なように標識される。標的分子中に正確に相補的な配列が認められる場合には、これらのオリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接して連結基質を作り出すようにハイブリダイズすると考えられる。連結は、アビジンを用いることによる標識オリゴヌクレオチドの回収を可能にする。PCRと組み合わせた、この方法を基にした他の核酸検出アッセイも記載されている(Nickerson et al., 1990)。この場合には、標的DNAの指数関数的増幅を実現するためにPCRを用い、続いてそれをOLAを用いて検出する。]
[0091] vii.リガーゼ/ポリメラーゼを介した遺伝子ビット分析
米国特許第5,952,174号は、標的分子に隣接する配列とハイブリダイズしうる2つのプライマーを同じく伴う方法を記載している。標的が固定化された固形支持体上に、ハイブリダイズした産物が形成される。この場合、ハイブリダイゼーションは、プライマーが単一ヌクレオチドの間隔で互いに隔てられるように起こる。このハイブリダイズした産物を、ポリメラーゼ、リガーゼ、および少なくとも1種のデオキシヌクレオシド三リン酸を含むヌクレオシド三リン酸混合物の存在下でインキュベートすることにより、隣接するハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド対の連結が可能になる。リガーゼの添加は、シグナルが生じるために必要な2つのイベントである伸長および連結を生じさせる。これは伸長または連結のいずれかを単独で用いる方法よりも高い特異性および低い「ノイズ」をもたらし、かつ、ポリメラーゼに基づくアッセイとは異なり、この方法はシグナルを固相に結び付ける第2のハイブリダイゼーションおよび連結の段階を兼ね備えることにより、ポリメラーゼ段階の特異性を強化する。]
[0092] viii.侵入切断反応
侵入切断反応(invasive cleavage reaction)を用いることで、特定の多型に関して細胞DNAを評価することができる。INVADER(登録商標)と呼ばれる技術は、そのような反応を用いている(例えば、de Arruda et al., 2002;Stevens et al., 2003、これらは参照により組み入れられる)。一般に、3種の核酸分子がある:1)標的部位の上流にあるオリゴヌクレオチド(「上流オリゴ」)、2)標的部位をカバーするプローブオリゴヌクレオチド(「プローブ」)および3)標的部位を有する一本鎖DNA(「標的」)。上流オリゴおよびプローブは重複していないが、それらは連続した配列を含む。プローブは、フルオロセインなどのドナー蛍光団、およびダブシル(Dabcyl)などのアクセプター色素を含む。上流オリゴの3'末端のヌクレオチドは、プローブ-標的二重鎖の第1の塩基対と重なり合う(「侵入する」)。続いて、プローブが構造特異的5'ヌクレアーゼによって切断されて、蛍光団/クエンチャー対の分離を引き起こし、そのために検出可能な蛍光の量が増加する。Lu et al.(2004)を参照。場合によっては、本アッセイは固相表面上またはアレイ形式で行われる。]
[0093] ix.SNPを検出する他の方法
多型の検出および同定のためのいくつかの他の具体的な方法が以下に提示されており、これらはそのようなものとして、または適した改変を加えた上で、本発明におけるSOD1遺伝子の多型を同定することに関連して用いることができる。いくつかの他の方法は、ncbi.nlm.nih.gov/SNPにあるワールドワイドウェブ上のNCBIのSNPウェブサイトでも記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。]
[0094] 特定の態様においては、拡張ハプロタイプを集団内の任意の所与の座位で決定することができ、このことは、どのSNPが重複しているか、およびどれが関連解析において必須であるかを正確に同定することを可能にする。後者は「ハプロタイプタグSNP(htSNP)」と称されており、これらは遺伝子のハプロタイプまたは連鎖不平衡の領域を捕えるマーカーである。Johnson et al.(2001)およびKe and Cardon(2003)の文献を参照のこと、これらはそれぞれ、例示的な方法に関して、参照により本明細書に組み入れられる。]
[0095] VDA-アッセイは、TaKaRa LA Taq試薬および他の標準的な反応条件を用いるロングPCR(long PCR)方法による、ゲノムセグメントのPCR増幅を利用する。ロング増幅は、サイズが約2,000〜12,000bpのDNAを増幅させることができる。産物の変異検出アレイ(VDA)に対するハイブリダイゼーションをAffymetrix High Throughput Screening Centerによって行い、コンピュータソフトウェアを用いて解析することができる。]
[0096] チップアッセイと呼ばれる方法は、標準的なPCRプロトコールまたはロングPCRプロトコールによる、ゲノムセグメントのPCR増幅を用いる。ハイブリダイゼーション産物は、参照により本明細書に組み入れられる、Halushka et al.(1999)のVDAにより分析される。SNPは一般に、ハイブリダイゼーションパターンのコンピュータ解析に基づいて「確実な」または「可能性が高い」として分類される。ヌクレオチドシークエンシングなどの代替的な検出法との比較により、「確実な」SNPはこの方法によって100%の確率で確認された;「可能性の高い」SNPは73%の確率で確認された。]
[0097] 他の方法は、単にPCR増幅およびその後の妥当な制限酵素による消化を伴う。さらに他のものは、公知のゲノム領域から精製されたPCR産物のシークエンシングを伴う。]
[0098] さらにもう1つの方法では、個々のエクソンまたは大規模なエクソンの重なり合う断片をPCR増幅させる。プライマーは公表された配列またはデータベースの配列から設計され、ゲノムDNAのPCR増幅は以下の条件を用いて行われる:200ngのDNAテンプレート、0.5μMの各プライマー、各80μMのdCTP、dATP、dTTPおよびdGTP、5%ホルムアミド、1.5mM MgCl2、0.5UのTaqポリメラーゼおよび0.1倍量のTaq緩衝液。サーマルサイクリングを行い、その結果生じたPCR産物を、例えば、5%グリセロールを伴って、または伴わずに15%尿素を含む、5%または10%ポリアクリルアミドゲルのような種々の条件下で、PCR-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)分析によって分析する。電気泳動は一晩かけて行う。移動度シフトを示すPCR産物を、ヌクレオチドの相違を同定するために再び増幅し、シークエンシングを行う。]
[0099] CGAP-GAI(DEMIGLACE)と呼ばれる方法では、配列およびアラインメントのデータ(PHRAP.aceファイルより)、配列のベースコール(base call)に関するクオリティスコア(PHREDクオリティファイルより)、距離情報(PHYLIP dnadistおよびneighbourプログラムより)ならびにベースコールデータ(PHRED '-d'スイッチより)が、メモリーに取り込まれる。配列のアラインメントを行い、その結果得られたアセンブリの各垂直チャンク(vertical chunk)(「スライス」)を不一致に関して調べる。このようなスライスはいずれも、候補SNP(DEMIGLACE)と考えられる。DEMIGLACEは多くのフィルターを用いて、真の多型を表す可能性が低いスライスを排除する。これらには以下のフィルターが含まれる:(i)任意の所与のスライス中の、近接する配列のクオリティスコアが40%またはそれ以上低下するような配列をSNPの検討から除外する;(ii)ピーク振幅が、そのヌクレオチド型に関するすべてのベースコールの15パーセンタイルを下回るようなコールを除外する;(iii)コンセンサスとの不一致が多数である配列の領域を、SNPの計算に加えるのには不適格とみなす;(iv)ピークが、コールされたピークの面積の25%またはそれ以上であるような代替コールを伴うあらゆるベースコールを検討から除く;(v)1つの読み取り方向のみで生じる相違を除外する。PHREDクオリティスコアは、そのスライス中の各ヌクレオチドに関する誤り確率値に変換された。標準的なベイズ法を用いて、所与の位置でのヌクレオチドの不均一性の証拠である事後確率を計算する。]
[0100] CU-RDF(RESEQ)と呼ばれる方法では、血液から単離したDNAから、各SNPに対して特異的なプライマーを用いてPCR増幅を行い、未使用のプライマーおよび遊離ヌクレオチドを除去する典型的なクリーンナッププロトコールの後に、同じプライマーまたはネステッドプライマーを用いる直接シークエンシングを行う。]
[0101] DEBNICK(METHOD-B)と呼ばれる方法では、クラスター化したEST配列の比較分析を行い、蛍光を利用するDNAシークエンシングによって確認する。DEBNICK(METHOD-C)と呼ばれる関連した方法では、ミスマッチ部位でのphredクオリティが20を上回り、SNPの5'-FLANKおよび3'側の5塩基にわたる平均phredクオリティが20以上であり、SNPの5'および3'側の5塩基にミスマッチがなく、各アレルの出現度(occurrence)が少なくとも2である、クラスター化したEST配列の比較分析を行い、トレース(trace)を調べることによって確認する。]
[0102] ERO(RESEQ)により特定される方法では、電子的手段により公表されたSTSに関して新規プライマーセットを設計し、10種の異なるマウス系統からのDNAを増幅させるために用いる。各系統からの増幅産物を続いてゲル精製し、33P標識されたターミネーターによる標準的なジデオキシ連鎖停止法を用いてシークエンシングを行う。続いて、すべてのddATP停止反応物をシークエンシング用ゲルの隣接レーンにローディングし、次にすべてのddGTP反応物というように同様にローディングする。SNPは放射線写真の目視走査によって同定される。]
[0103] ERO(RESEQ-HT)として特定されるもう1つの方法では、電子的手段により公表されたマウスDNA配列に関して新規プライマーセットを設計し、10種の異なるマウス系統のDNAを増幅させるために用いる。続いて、各系統からの増幅産物を、エキソヌクレアーゼIおよびエビアルカリホスファターゼで処理することによってシークエンシング用に調製する。シークエンシングはABIPrism Big Dye Terminator Ready反応キット(Perkin-Elmer)を用いて行い、配列試料を3700 DNA Analyzer(96 Capillary Sequencer)にかける。]
[0104] FGU-CBT(SCA2-SNP)は、SNPを含む領域がプライマーSCA2-FP3およびSCA2-RP3を用いてPCR増幅される方法を特定する。ゲノムDNAのおよそ100ngを、最終濃度5mMのTris、25mM KCl、0.75mM MgCl2、0.05%ゼラチン、各20pmolのプライマーおよび0.5UのTaqDNAポリメラーゼを含む50mlの反応体積中で増幅させる。試料の変性、アニーリングおよび伸長を行い、PCR産物を、アガロースゲルから切り出したバンドから、例えばQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製し、PCRプライマーとともにABIPrism 377自動化DNAシークエンサー上でダイターミネーター化学法(dye terminator chemistry)を用いてシークエンシングを行う。]
[0105] JBLACK(SEQ/RESTRICT)として特定される方法では、ゲノムDNAを用いて、2つの独立したPCR反応を行う。第1の反応による産物をシークエンシングによって分析し、ユニークなFspI制限部位を指し示す。突然変異は、第2のPCR反応産物において、FspIで消化することによって確認される。]
[0106] KWOK(1)として記載されている方法では、4例の無作為に選択された個体からの高品質ゲノム配列データを、ダイターミネーター化学法によるPCR産物の直接DNAシークエンシングによって比較することにより、SNPが同定される(Kwok et al., 1996を参照)。KWOK(2)として特定される関連した方法では、細菌人工染色体(BAC)またはP1ベースの人工染色体(PAC)などの重複性ラージインサート(large-insert)クローンからの高品質ゲノム配列データを比較することにより、SNPが同定される。続いて、このSNPを含むSTSを策定し、さまざまな集団におけるSNPの存在を、プールしたDNAのシークエンシングによって確認する(Taillon-Miller et al., 1998を参照)。KWOK(3)と呼ばれるもう1つの類似した方法では、重複性ラージインサートクローンBACまたはPACからの高品質ゲノム配列データを比較することにより、SNPが同定される。このアプローチによって見いだされたSNPは、2つのドナー染色体間のDNA配列の相違を表すが、一般集団におけるアレル頻度はまだ決定されていない。方法KWOK(5)では、ダイターミネーター化学法によるPCR産物の直接DNAシークエンシングによって、ホモ接合性DNA試料および1つまたは複数のプールしたDNA試料からの高品質ゲノム配列データを比較することにより、SNPが同定される。用いられるSTSは、公に利用可能なデータベースにおいて見いだされた配列データから策定される。具体的には、これらのSTSは、すべての座位でホモ接合性であることが示されている全胞状奇胎(CHM)、および80例のCEPH親からのDNA試料のプールに対するPCRによって増幅される(Kwok et al., 1994を参照)。]
[0107] もう1つのこのような方法であるKWOK(OverlapSnpDetectionWithPolyBayes)では、SNPは、ラージインサートヒトゲノムクローン配列の重複領域の自動化コンピュータ解析によって発見される。データ収集のために、クローン配列を大規模シークエンシングセンターから直接入手する。これが必要なのは、ベースクオリティ配列がGenBankには存在しない/入手できないためである。生データ処理は、クローン配列および付随するベースクオリティ情報の整合性に関する分析を伴う。関連したベースクオリティ配列を伴わない、完了した(「塩基完全性(base perfect)」、誤差率が10,000bp中に1未満)配列には、均一なベースクオリティ値40(10,000bp中に1の誤差率)を割り当てる。ベースクオリティ値を伴わないドラフト配列は拒絶される。処理された配列は、ローカルデータベースに入力される。マスクされた公知のヒト反復配列を伴う各配列のバージョンも保存される。リピートマスクは、プログラム「MASKERAID」により実行される。重複の検出:重複と推定されるものは、プログラム「WUBLAST」により検出される。偽の重複検出結果、すなわち真の重複ではなく配列複製のために生じるクローン配列対の間の類似性を排除するために、いくつかのフィルタリング過程を続いて行う。重複の全長、全体的な類似度(percent similarity)、高ベースクオリティ値を有するヌクレオチド間での配列の違い「高品質ミスマッチ」の数。結果はさらに、Washington University Genome Sequencing Centerでのゲノムクローンの制限断片マッピングの結果、重複に関する完成した報告書、およびNCBIでの配列コンティグ構築の取り組みの結果と比較される。SNPの検出:「POLYBAYES」SNP検出ソフトウェアにより、クローン配列の重複する対を、候補SNP部位に関して分析する。配列対の間での配列の違いを、シークエンシング誤差ではない真の配列の相違を表す確率についてスコア化する。このプロセスは、両方の配列に関するベースクオリティ値の存在を必要とする。高スコアの候補を抽出する。検索は、置換型の一塩基対の相違に限定する。候補SNPの信頼度スコアを、POLYBAYESソフトウェアによりコンピュータ上で算出する。]
[0108] KWOK(TaqManアッセイ)により特定される方法では、90例のランダムな個体の遺伝子型を決定するために、TaqManアッセイが用いられる。KYUGEN(Q1)により特定される方法では、指定の集団のDNA試料をプールし、PLACE-SSCPによって分析する。プール分析における各アレルのピーク高さを、ヘテロ接合体におけるものによって補正し、その後にアレル頻度の計算のために用いる。10%よりも高いアレル頻度は、この方法によって信頼性を伴って定量化される。アレル頻度=0(ゼロ)は、そのアレルが個体の中には見いだされるが、プールの検討では対応するピークが認められないことを意味する。アレル頻度=0〜0.1は、少数のアレルがプールにおいて検出されるが、そのピークは信頼性を伴って定量化されるには小さすぎることを示している。]
[0109] KYUGEN(方法1)として特定されるさらにもう1つの方法では、PCR産物を蛍光色素によって後標識し、SSCP条件下での自動化キャピラリー電気泳動システム(PLACE-SSCP)によって分析する。4例またはそれ以上の個体のDNAが、一連の実験において、2つのプールDNA(日本人プールおよびCEPH親プール)とともに、またはそれらを伴わずに分析される。アレルは目視検査によって同定される。異なる遺伝子型を有する個体のDNAのシークエンシングを行って、SNPを同定する。アレル頻度を、ヘテロ接合体におけるピーク高さを用いたシグナルバイアスの補正後に、プールされた試料におけるピーク高さから見積もる。PCRのためには、プライマーに対して、両方の鎖の後標識のためにそれらの末端に5'-ATTまたは5'-GTTを有するようにタグ付加を行う。DNAの試料(10ng/ul)を、緩衝液(10mM Tris-HCl、pH8.3または9.3、50mM KCl、2.0mM MgCl2)、0.25μMの各プライマー、200μMの各dNTP、および抗Taq抗体と予混合した0.025単位/μlのTaqDNAポリメラーゼを含む反応混合液中で増幅させる。PCR産物の2つの鎖は、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片の交換反応により、R110およびR6Gで修飾されたヌクレオチドによって差異を伴って標識される。この反応をEDTAの添加によって停止させ、組み込まれていないヌクレオチドを、ウシ腸アルカリホスファターゼの添加によって脱リン酸化する。SSCPのためには、蛍光標識されたPCR産物のアリコートおよびTAMRA標識された内部マーカーを脱イオン化ホルムアミドに添加し、変性させる。電気泳動を、キャピラリー内で、ABIPrism 310 Genetic Analyzerを用いて実施する。データ収集およびデータ処理には、Genescanソフトウェア(P-E Biosystems)を用いる。SSCPに関して異なる遺伝子型を示したものを含む個体(2〜11例)のDNAを、ABI Prism 310シークエンサー上でのビッグ-ダイターミネーター化学法を用いた直接シークエンシングに供する。ABI Prism 310から得られた複数の配列トレースファイルを、Phred/Phrapによって処理してアラインメントし、Consedビューア(Consed viewer)を用いて検査する。SNPは、PolyPhredソフトウェアおよび目視検査によって同定される。]
[0110] KYUGEN(方法2)として特定されるさらにもう1つの方法では、SNPを同定するために、異なる遺伝子型を有する個体を変性HPLC(DHPLC)またはPLACE-SSCPによって検索し(Inazuka et al., 1997)、それらの配列を決定する。両方の鎖の後標識のためにその両端に5'-ATTまたは5'-GTTでタグ付加がなされたプライマーを用いてPCRを行う。DHPLC分析は、WAVEDNA断片分析システム(Transgenomic)を用いて行う。PCR産物をDNASepカラムに注入し、WAVEMakerプログラム(Transgenomic)を用いて決定された条件下で分離させる。PCR産物の2つの鎖は、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片の交換反応により、R110およびR6Gで修飾されたヌクレオチドによって差異を伴って標識される。この反応をEDTAの添加によって停止させ、組み込まれていないヌクレオチドを、ウシ腸アルカリホスファターゼの添加によって脱リン酸化する。SSCPの後に、電気泳動をABIPrism 310 Genetic Analyzer、Genescanソフトウェア(P-E Biosystems)を用いてキャピラリー内で実施する。DHPLCまたはSSCPに関して異なる遺伝子型を示したものを含む個体のDNAを、ABI Prism 310シークエンサー上でのビッグ-ダイターミネーター化学法を用いた直接シークエンシングに供する。ABI Prism 310から得られた複数の配列トレースファイルをPhred/Phrapによって処理してアラインメントし、Consedビューアを用いて検査する。SNPは、PolyPhredソフトウェアおよび目視検査によって同定される。Unigene中のEST配列のトレースクロマトグラムデータを、PHREDによって処理する。可能性のあるSNPを同定するために、各UnigeneクラスターについてプログラムPHRAP、BROおよびPOAによって生成された複数の配列アラインメントから一塩基ミスマッチが報告される。BROは可能性のある誤報告されたESTの配向を補正し、一方、POAは、偽性SNPを生じる可能性のある遺伝子混合/キメラを指し示す非線形アラインメント構造を同定するとともに分析した。ベイズ推論を用いて、シークエンシングの誤り、ミスアラインメントもしくは曖昧性、ミスクラスター化(misclustering)またはキメラEST配列と対比した上で真の多型である証拠に対して重みづけを行い、生クロマトグラムの高さ、鋭敏さ、重複および間隔;シークエンシング誤差率;コンテキスト感度(context-sensitivity);cDNAライブラリーの由来などのデータを評価する。]
[0111] MARSHFIELD(方法-B)として特定される方法では、挿入/欠失多型と推定されるものを含む重複性ヒトDNA配列を、公開データベースの検索によって同定する。各多型部位の側方に位置するPCRプライマーをコンセンサス配列から選択する。プライマーを用いて、個体のDNAまたはプールされたヒトゲノムDNAを増幅させる。その結果得られたPCR産物を、変性ポリアクリルアミドゲル上で分離させ、PhosphorImagerを用いてDNAプールからアレル頻度を見積もる。]
[0112] f.連鎖不平衡
1つの多型の同定によって、連鎖している多型の実体が予測される、別の多型と連鎖不平衡にある多型。「連鎖不平衡」(本明細書で用いる場合は「LD」であるが、当技術分野では「LED」とも称される)とは、2つの座位にあるアレル(すなわち、所与の遺伝子の変異型)または多型の特定の組み合わせが、偶然に期待されるよりも高い頻度で出現する状況のことを指す。当業者によって決定されるような、連鎖不平衡に関して用いられる「有意な」とは、0.25または0.1でありうる、かつ0.1、0.05、0.001、0.00001またはそれ未満でありうる、統計学的なp値またはα値であると想定される。40位でのSOD1タンパク質の多型は、残基40の多型と連鎖不平衡にある多型の核酸配列を評価することによって決定することができる。本発明は、ハプロタイプ分析が可能となるように、1つまたは複数の多型に関してこの様式で実行することができる。「ハプロタイプ」は、当業者にとっての、その平易かつ通常の意味に従って用いられる。これは、相同染色体の1つに沿った2つまたはそれ以上のアレルまたは多型の遺伝子型の集合のことを指す。]
[0113] B.タンパク質の評価
または、多型の相違を、アミノ酸の相違を検出する任意の方法によって決定することもできる。本発明は、これを実現するためのいずれかの特定の方法に限定されるべきではない。例えば、流体または組織の試料を個体から入手し、SOD1タンパク質の40位にあるアミノ酸を決定することができる。そのような検出は、抗体に基づくアッセイ(ウエスタンブロット、ELISA)を含む、さまざまな方法によるものであってもよく、または、タンパク質がArgもしくはGlyを有するか否かを検出するアミノ酸分析(高圧液体クロマトグラフィーまたは質量分析)を用いることもできると考えられる。]
[0114] したがって、ある態様において、本発明は、SOD1タンパク質、またはSOD1タンパク質と結合するタンパク質、例えば抗体などの少なくとも1つのタンパク質性分子を含む組成物にかかわる。本明細書で用いる場合、「タンパク質性分子」、「タンパク質性組成物」、「タンパク質性化合物」、「タンパク質性鎖」または「タンパク質性材料」は一般に、約200アミノ酸を上回るタンパク質、または遺伝子から翻訳された完全長内因性配列;約100アミノ酸を上回るポリペプチド;および/または約3〜約100アミノ酸のペプチドのことを指すが、これらには限定されない。上記の「タンパク質性」の用語はすべて、本明細書において互換的に用いうる。]
[0115] タンパク質性組成物は、標準的な分子生物学の手法によるタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然の源からのタンパク質性化合物の単離、またはタンパク質性材料の化学合成を含む、当業者に公知の任意の手法によって作製することができる。さまざまな遺伝子のヌクレオチド配列ならびにタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの配列は以前に開示されており、当業者に公知のコンピュータ上のデータベースに見いだすことができる。そのようなデータベースの1つは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のGenbankデータベースおよびGenPeptデータベースである(ワールドワイドウェブはncbi.nlm.nih.gov/にある)。これらの公知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示された、または当業者に公知であると考えられる手法を用いて、増幅および/または発現させることができる。または、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドのさまざまな市販の調製物も当業者に公知である。]
[0116] 1.タンパク質の精製
試料から、SOD1、またはSOD1と結合するタンパク質、例えば抗体などを精製することが望ましい場合がある。そのような手法は広く用いられており、本発明はタンパク質精製に関して限定されないものとする。タンパク質精製手法は当業者に周知である。これらの手法は、あるレベルで、ポリペプチド画分および非ポリペプチド画分への細胞環境の粗分画を伴う。ポリペプチドを他の分子から分離したら、クロマトグラフィーおよび電気泳動の手法を用いて関心対象のポリペプチドをさらに精製して、部分的または完全な精製(または均一になるまでの精製)を実現することができる。純粋なペプチドの調製に特に適した分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;等電点電気泳動法である。特に効率的なペプチド精製方法は、高速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは場合によってはHPLCである。]
[0117] 本発明のある局面は、コードされるタンパク質またはペプチドの精製にかかわり、特定の態様においては、その実質的な精製にかかわる。本明細書で用いる「精製されたタンパク質またはペプチド」という用語は、タンパク質またはペプチドがその天然に入手可能な状態に比して何らかの度合いまで精製される、他の成分から単離可能な組成物のことを指すものとする。したがって、精製されたタンパク質またはペプチドは、それが天然に存在しうる環境から遊離しているタンパク質またはペプチドのことも指す。]
[0118] 一般に、「精製された」とは、さまざまな他の成分を除去するための分画に供されたタンパク質組成物またはペプチド組成物であって、かつ、その発現される生物活性を実質的に保っている組成物のことを指すと考えられる。「実質的に精製された」という用語を用いる場合、この呼称は、タンパク質またはペプチドが、組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%またはそれ以上を占めるというように、組成物の主要な成分を構成している組成物のことを指すと考えられる。]
[0119] タンパク質またはペプチドの精製の度合いを定量化するためのさまざまな方法は、本開示に鑑みて当業者には公知であろう。これらには、例えば、活性画分の比活性を決定すること、またはSDS/PAGE分析によって画分中のポリペプチドの量を評価することが含まれる。画分の純度を評価するための1つの好ましい方法は、画分の比活性を計算し、それを最初の抽出物の比活性と比較して、それにより、本明細書において「〜倍の精製度(-fold purification number)によって評価される純度を算出することである。活性の量を表すために用いられる実際の単位は、当然ながら、精製を追跡するために選択される個々のアッセイ手法、および発現されたタンパク質またはペプチドが検出可能な活性を呈するか否かに依存すると考えられる。]
[0120] タンパク質の精製に用いるために適した種々の手法が、当業者には周知であろう。これらには、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などを用いた沈殿、または熱変性による沈澱とその後の遠心分離;イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー段階;等電点電気泳動法;ゲル電気泳動;ならびに、そのような手法および他の手法の組み合わせが含まれる。当技術分野で一般に知られているように、さまざまな精製段階を実施する順序を変えてもよく、または特定の段階を省略してもよく、それでもなお実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの精製のために適した方法がもたらされると考えられている。]
[0121] タンパク質またはペプチドが、必ずしも常にその最も精製された状態で提供される一般的な必要性はない。実際に、それほど高度に精製されていない産物も、ある種の態様においては有用性があると想定される。部分的な精製は、より少数の精製段階を組み合わせて用いることにより、または同じ一般的な精製スキームの異なる形態を利用することによって実現することができる。例えば、HPLC装置を利用して実施される陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが、一般に、低圧クロマトグラフィーシステムを利用する同じ手法よりも大きい「倍数」の精製をもたらすことは理解されよう。より低い度合いの相対的な精製を呈する方法は、タンパク質産物の回収総量において、または発現されたタンパク質の活性を維持する上で利点を有することがある。]
[0122] ポリペプチドの移動は、異なるSDS/PAGEの条件によって変化しうること、時には有意に変化しうることが知られている(Capaldi et al., 1977)。したがって、異なる電気泳動条件下では、精製された、または部分的に精製された発現産物の見かけの分子量が変化しうることは理解されるであろう。]
[0123] 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、並外れたピーク分解能を有する非常に急速な分離によって特徴づけられる。これは、微細粒子および適切な流速を維持するための高圧の使用によって実現される。分離は、数分間または長くても1時間で実現しうる。さらに、粒子が非常に小さくかつ稠密に充填されているために空隙容量が総容量の極めてわずかな割合であるという理由から、必要なのは非常に小量の試料だけである。また、バンドが非常に狭いために試料の希釈がほとんどないという理由から、試料の濃度が特に高い必要もない。]
[0124] ゲルクロマトグラフィーまたは分子篩クロマトグラフィーは、分子サイズに基づく特殊なタイプの分配クロマトグラフィーである。ゲルクロマトグラフィーの基礎にある理論は、細孔を含む不活性物質の微粒子によって調製されるカラムが、分子が孔の中または周囲を通過する際に、そのサイズに応じてより大きい分子をより小さい分子から分離するということである。粒子を作る材料が分子を吸着しない限り、流速を決定する唯一の要因はサイズである。このため、形状が比較的一定である限り、分子は大きい順にカラムから溶出する。ゲルクロマトグラフィーは、分離がpH、イオン強度、温度などといった他のすべての要因に依存しないことから、異なるサイズの分子を分離するためにこれに勝るものはない。また、吸着も事実上全くなく、ゾーンの広がりが少なく、溶出容積は分子量と単純な形で関連づけられる。]
[0125] アフィニティークロマトグラフィーは、単離しようとする物質とそれに対して特異的に結合する物質との間の特異的親和性に依拠するクロマトグラフィー手法である。これは受容体-リガンド型の相互作用である。カラム材料は、結合パートナーの一方を不溶性マトリックスと共有結合的にカップリングさせることによって合成される。続いて、カラム材料は、溶液から物質を特異的に吸着することができる。条件を、結合が起こらないと考えられるもの(pH、イオン強度、温度など)に変えることによって溶出が起こる。]
[0126] 糖質を含む化合物の精製において有用なアフィニティークロマトグラフィーの具体的なタイプには、レクチンアフィニティークロマトグラフィーがある。レクチンは、種々の多糖類および糖タンパク質と結合する物質のクラスである。レクチンは通常、臭化シアンによってアガロースとカップリングされる。セファロースとカップリングされたコンカナバリンAは、この種の中で用いられた最初の材料であり、多糖類および糖タンパク質の単離に広く用いられており、他のレクチンには、レンチルレクチン、N-アセチルグルコサミニル残基の精製において有用であるコムギ胚芽アグルチニン、およびヘリックス・ポマチア(Helix pomatia)のレクチンが含まれる。レクチンそれ自体は、糖質リガンドとのアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製される。レクチンをトウゴマの実およびピーナッツから精製するために乳糖が用いられている;マルトースは、レンズマメおよびタチナタマメからレクチンを抽出するために有用である;N-アセチル-D-ガラクトサミンは、ダイズからレクチンを精製するために用いられる;N-アセチルグルコサミニルは、コムギ胚芽由来のレクチンと結合する;D-ガラクトサミンはハマグリからレクチンを得るために用いられており、L-フコースはハス由来のレクチンと結合すると考えられる。]
[0127] マトリックスは、それ自体では有意な程度では分子を吸着せず、広範囲にわたる化学的、物理的および熱的安定性を有する物質であるべきである。リガンドは、その結合特性に影響を及ぼさないような様式でカップリングされるべきである。リガンドはまた、比較的堅固な結合をもたらすべきである。さらに、試料もリガンドも破壊することなしに物質を溶出させることが可能であるべきである。アフィニティークロマトグラフィーの最も一般的な形態の1つは、イムノアフィニティークロマトグラフィーである。本発明における使用に適すると考えられる抗体の生成を、以下に述べる。]
[0128] 2.抗体
本発明のもう1つの態様は抗体であり、いくつかの場合には、イヌSOD1のポリペプチド配列との免疫反応性のあるヒトモノクローナル抗体である。抗体を、SOD1、特に特定の多型の結果であるSOD1を検出するために用いうることは理解されよう。本発明の文脈において特に有用な抗体は、2つの集団が識別されるように、40位にE残基またはK残基のいずれかを有するSOD1タンパク質と差異を伴って結合するものである。]
[0129] 本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEなどの任意の免疫学的結合物質を幅広く指すものとする。一般に、IgGおよび/またはIgMが好ましいが、これはそれらが生理的状況において最も一般的な抗体であり、かつ、それらが実験室環境で最も容易に作製されるためである。]
[0130] 「抗体」という用語は、抗原結合領域を含む任意の抗体様分子を指すために用いられ、これにはFab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)などの抗体断片が含まれる。抗体を基にしたさまざまな構築物および断片を調製および用いるための手法は、当技術分野において周知である。抗体の調製および特徴づけのための手段も当技術分野において周知である(例えば、Harlow et al., 1988を参照;これは参照により本明細書に組み入れられる)。]
[0131] a.抗体の作製
ある態様において、本発明は抗体を伴う。例えば、モノクローナル性のものの全体または一部を、389位にあるアミノ酸の決定に用いることができる。以上に詳述したように、完全長タンパク質に対して作製された抗体に加えて、抗体を、野生型エピトープおよび突然変異体エピトープを含むエピトープ性コア領域を含む、より小型の構築物に反応させて作製することもできる。抗体を基にしたさまざまな構築物および断片を調製および用いるための手法は、当技術分野において周知である。抗体の調製および特徴づけのための手段も当技術分野において周知である(例えば、HarlowおよびLane, 1988を参照;これは参照により本明細書に組み入れられる)。]
[0132] モノクローナル抗体(mAb)は、例えば再現性および大規模生産といった一定の利点を有することが認識されており、一般にそれらの使用が好ましい。したがって、本発明は、ヒト、マウス、サル、ラット、ハムスター、ウサギ、さらにはニワトリに由来するモノクローナル抗体を提供する。]
[0133] モノクローナル抗体(mAb)を作製するための方法は、一般に、ポリクローナル抗体を調製するためのものと同じ方針で始まる。手短に述べると、ポリクローナル抗体は、本発明による免疫原性ポリペプチド組成物による動物の免疫処置を行い、免疫処置した動物から抗血清を収集することによって調製することができる。または、本発明のいくつかの態様においては、血清を、特定の抗原に曝露された可能性のある人から収集する。特定の抗原への曝露は労働環境で起こる可能性があり、その結果、そのような人々は特定の抗原に職業的に曝露して、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に対するポリクローナル抗体が生じている可能性がある。本発明のいくつかの態様においては、職業的に曝露した人々からのポリクローナル血清を、免疫検出法の使用によってゲロニン毒素中の抗原性領域を同定するために用いる。]
[0134] 広範囲にわたる動物種を、抗血清の産生のために用いることができる。典型的には、抗血清の産生のために用いられる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはヤギである。ウサギは比較的血液量が多いため、ウサギはポリクローナル抗体の産生のための好ましい選択肢である。]
[0135] 当技術分野において周知であるように、所与の組成物はその免疫原性の点でさまざまである。このため、宿主免疫系を追加免疫することがしばしば必要であり、これはペプチド免疫原またはポリペプチド免疫原を担体とカップリングさせることによって実現しうる。例示的および好ましい担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)である。オボアルブミン、マウス血清アルブミンまたはウサギ血清アルブミンなどの他のアルブミンを担体として用いることもできる。担体タンパク質にポリペプチドをコンジュゲートさせるための手段は当技術分野において周知であり、これにはグルタルアルデヒド、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミドおよびビス-ビアゾタイズドベンジジン(bis-biazotized benzidine)が含まれる。]
[0136] 同じく当技術分野において周知であるように、特定の免疫原組成物の免疫原性を、アジュバントとして知られる、免疫応答の非特異的な刺激物質の使用によって強化することもできる。適した分子アジュバントには、サイトカイン、毒素または合成組成物といった、許容されるすべての免疫刺激性化合物が含まれる。]
[0137] 用いることのできる他のアジュバントには、IL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、γ-インターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウム、MDP化合物、例えばthur-MDPおよびnor-MDPなど、CGP(MTP-PE)、リピドA、モノホスホリル脂質A(MPL)が含まれる。細菌から抽出した3つの成分であるMPL、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)を2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中に含む、RIBIも想定している。さらにMHC抗原も用いることができる。例示的に、多くの場合に好ましいアジュバントには、完全フロイントアジュバント(死滅した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含む免疫応答の非特異的刺激物質)、不完全フロイントアジュバントおよび水酸化アルミニウムアジュバントが含まれる。]
[0138] アジュバントに加えて、T細胞免疫をアップレギュレートすること、またはサプレッサー細胞活性をダウンレギュレートすることが示されている生物学的応答修飾物質(BRM)を共投与することが望ましいこともある。そのようなBRMには、シメチジン(CIM;1200mg/d)(Smith/Kline, PA);低用量シクロホスファミド(CYP;300mg/m2)(Johnson/Mead, NJ)、サイトカイン、例えばγ-インターフェロン、IL-2もしくはIL-12など、または免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質、例えばB-7などをコードする遺伝子が非限定的に含まれる。]
[0139] ポリクローナル抗体の産生のために用いられる免疫原組成物の量は、免疫原の性質のほか、免疫処置のために用いられる動物によって異なる。免疫原を投与するためには、種々の経路を用いることができる(皮下、筋肉内、皮内、静脈内および腹腔内)。ポリクローナル抗体の産生は、免疫処置した動物の血液を、免疫処置後のさまざまな時点で試料採取することによってモニターすることができる。]
[0140] 第2の、追加免疫注射を行うこともできる。追加免疫処置および力価測定のプロセスを、適した力価が達成されるまで繰り返す。所望のレベルの免疫原性が得られたら、免疫処置した動物から採血して血清を単離および保存すること、ならびに/またはその動物を用いてmAbを作製することができる。]
[0141] mAbは、米国特許第4,196,265号(参照により本明細書に組み入れられる)に例示されているような周知の手法の使用によって、容易に調製することができる。典型的には、この手法は、野生型組成物または突然変異体組成物である、精製または部分精製されたポリペプチド、ペプチドまたはドメインなどの選択された免疫原組成物による、適した動物の免疫処置を伴う。免疫処置用組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効な様式で投与される。]
[0142] mAbを、所望であれば、濾過、遠心分離、および種々のクロマトグラフィー法、例えばHPLCまたはアフィニティークロマトグラフィーなどを用いて、さらに精製することもできる。本発明のモノクローナル抗体の断片は、そのようにして作製されたモノクローナル抗体から、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化、および/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断を含む方法によって得ることができる。または、本発明の範囲に含まれるモノクローナル抗体断片を、自動化ペプチド合成装置を用いて合成することもできる。]
[0143] mAbを作製するために分子クローニングのアプローチを用いることも想定されている。このためには、免疫処置した動物の脾臓から単離したRNAからコンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライブラリーを調製し、適した抗体を発現するファージミドを、抗原を発現する細胞および対照細胞を用いたパニングによって選択する。このアプローチの従来のハイブリドーマ技術を上回る利点は、1回でおよそ104倍もの多くの抗体を産生させてスクリーニングすることができること、ならびにH鎖およびL鎖の組み合わせによって新たな特異性が生じ、そのために適切な抗体が発見される機会がさらに増えることである。]
[0144] b.免疫検出法
以上に考察したように、いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドおよびペプチド上の抗原性領域などの生体成分の結合、精製、取り出し、決定および/または他の様式での検出のための免疫検出法にかかわる。本発明の免疫検出法は、特に標的対象におけるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の免疫原性または抗原性を低下させる上で治療的意義のある、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の抗原性領域を同定するために用いることができる。]
[0145] 免疫検出法には、固相酵素免疫アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射定量アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイおよびウエスタンブロット法が含まれるが、他にいくつかのものが当業者に周知である。さまざまな有用な免疫検出法の諸段階は、例えば、Doolittle et al., 1999;Gulbis et al., 1993;De Jager et al., 1993;およびNakamura et al., 1987になどの科学文献に記載されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。]
[0146] 一般に、免疫結合法は、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む疑いのある試料を入手する段階、ならびにその試料を、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、場合に応じてモノクローナル性またはポリクローナル性である、本発明による第1の抗体と接触させる段階を含む。]
[0147] これらの方法は、オルガネラ、細胞、組織または生物の試料から、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを精製するための方法を含む。これらの場合に、抗体は、抗原性タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド成分を試料から取り出す。抗体は好ましくは、カラムマトリックスなどの形態にある固体支持体と連結され、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド抗原性成分を含む疑いのある試料を、固定化された抗体に対して適用する。望ましくない成分はカラムから洗い流されて、溶出させることになる、固定化された抗体と免疫複合体を形成した抗原が残される。]
[0148] 免疫結合法はまた、試料中の抗原成分の量を検出および定量化するための方法、ならびに結合過程の間に形成された免疫複合体の検出および定量化も含む。この場合には、抗原または抗原ドメインを含む疑いのある試料を入手し、試料を抗原または抗原ドメインに対する抗体と接触させた上で、その特定の条件下で形成された免疫複合体の量を検出して定量化する。]
[0149] 抗原検出に関して、分析される生体試料は、抗原または抗原ドメインを含む疑いのある任意の試料であってよく、これには例えば、組織切片もしくは標本、ホモジネート化された組織抽出物、細胞、オルガネラ、上記の抗原含有組成物のいずれかの分離および/もしくは精製された形態、またはさらには、血液および/または血清を含む、上記の細胞もしくは組織と接触する任意の生体液がある。]
[0150] 選択した生体試料を、抗体と、免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下で、かつ十分な期間にわたって接触させることとは、一般に、抗体組成物を試料にそのまま添加し、その混合物を、抗体が、存在する抗原と免疫複合体を形成する、すなわち結合するのに十分に長い期間にわたってインキュベートすることである。この時間の後に、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロットのような試料-抗体組成物を、一般には、非特異的に結合した抗体種を除去するために洗浄し、一次免疫複合体中の特異的に結合した抗体のみを検出することを可能にする。]
[0151] 一般に、免疫複合体形成の検出は当技術分野で周知であり、さまざまなアプローチの適用によって実現することができる。これらの方法は一般に、放射性タグ、蛍光性タグ、生物学的タグまたは酵素性タグのいずれかのような標識またはマーカーの検出に基づく。そのような標識の使用に関する米国特許には、第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号および第4,366,241号が含まれ、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。当然ながら、当技術分野で公知であるように、二次抗体のような二次結合リガンド、および/またはビオチン/アビジンリガンド結合配置の使用によってさらなる利点が見い出されることもある。]
[0152] 検出に用いられる抗体それ自体を、検出可能な標識に直接連結させることもでき、この場合は、この標識をそのまま検出することで、それによって組成物中の一次免疫複合体の量を検出することが可能になると考えられる。または、一次免疫複合体中の結合した第1の抗体を、その抗体に対する結合親和性を有する第2の結合リガンドによって検出することもできる。これらの場合には、第2の結合リガンドが検出可能な標識と連結されてもよい。第2の結合リガンドは、しばしばそれ自体が抗体であり、このためにそれは「二次」抗体と呼ばれることもある。一次免疫複合体を、標識された二次結合リガンドまたは抗体と、二次免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、かつ十分な時間にわたって接触させる。続いて、二次免疫複合体は一般に、非特異的に結合した標識された二次抗体またはリガンドを除去するために洗浄され、続いて、二次免疫複合体中に残った標識を検出する。]
[0153] さらなる方法は、二段階アプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。抗体に対する結合親和性を有する、抗体などの第2の結合リガンドを用いて、上記のように二次免疫複合体を形成させる。洗浄の後に、二次免疫複合体を、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の結合リガンドまたは抗体と、同じく免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下で、かつ十分な時間にわたって接触させる。第3のリガンドまたは抗体を検出可能な標識と連結させ、このようにして形成された三次免疫複合体の検出を可能にする。この系は、仮にそれが望まれる場合には、シグナル増幅をもたらしうる。]
[0154] Charles Cantorによってデザインされた1つの免疫検出法は、2種の異なる抗体を用いる。第一段階のビオチン化されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は標的抗原を検出するために用いられ、続いて、第二段階の抗体が、複合体を形成したビオチンに結び付けられたビオチンを検出するために用いられる。その方法では、検査する試料をまず、第一段階抗体を含む溶液中でインキュベートする。標的抗原が存在するならば、抗体の一部が抗原と結合してビオチン化抗体/抗原複合体を形成する。続いて、抗体/抗原複合体をストレプトアビジン(またはアビジン)、ビオチン化DNAおよび/または相補的ビオチン化DNAの溶液中での逐次的なインキュベーションに増幅させ、各段階で抗体/抗原複合体にさらなるビオチン部位を追加する。増幅段階を適した増幅レベルが達成されるまで繰り返し、その時点で試料を、ビオチンに対する第二段階抗体を含む溶液中でインキュベーションする。この第二段階抗体は、例えば、抗体/抗原複合体の存在を、発色団基質を用いた組織酵素学(histoenzymology)によって検出するために用いうる酵素によって標識される。適した増幅を用いることで、肉眼で目視しうるコンジュゲートを生成させることができる。]
[0155] 免疫検出のもう1つの既知の方法は、イムノ-PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法を利用する。このPCR法は、ビオチン化DNAとのインキュベーションのところまではCantorの方法と類似しているが、ストレプトアビジンおよびビオチン化DNAの複数回のインキュベーションを用いる代わりに、DNA/ビオチン/ストレプトアビジン/抗体複合体を、抗体を放出させる低pHまたは高塩濃度の緩衝液によって洗い流す。続いて、その結果得られた洗浄液を用いて、適した対照とともに適したプライマーを用いるPCR反応を行う。少なくとも理論上は、PCRの極めて高い増幅能力および特異性を利用することで、単一の抗原分子を検出することができる。]
[0156] i.ELISA
以上に詳述したように、イムノアッセイは、その最も単純および/または直接的な意味では、結合アッセイである。ある種の好ましいイムノアッセイには、当技術分野において公知のさまざまなタイプの固相酵素免疫アッセイ(ELISA)および/またはラジオイムノアッセイ(RIA)がある。組織切片を用いる免疫組織化学的検出は特に有用である。しかし、容易に理解されるであろうが、検出はそのような手法、および/またはウエスタンブロット法には限定されず、ドットブロット法、FACS分析、および/または他のものを用いることもできる。]
[0157] 1つの例示的なELISAでは、抗体を、ポリスチレン製マイクロタイタープレート中のウェルなどの、タンパク質親和性を呈する選択した表面上に固定化する。続いて、抗原を含む疑いのある臨床試料などの被験組成物をウェルに添加する。結合、および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄の後に、結合した抗原を検出することができる。検出は一般に、検出可能な標識と連結されたもう1つの抗体の添加によって実現される。このタイプのELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。また、検出を、第2の抗体の添加の後に、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の抗体であって、検出可能な標識が連結されている第3の抗体の添加によって実現することもできる。ELISAは、Arg389を有するタンパク質とGly389を有するタンパク質との間での、抗体の差異を伴った結合に基づくことができる。]
[0158] もう1つの例示的なELISAでは、抗原を含む疑いのある試料をウェル表面上に固定化する、および/または続いて抗体と接触させる。結合、および/または非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄の後に、結合した抗-抗体を検出する。最初の抗体が検出可能な標識と連結されている場合には、免疫複合体を直接検出することができる。またこの場合も、免疫複合体を、第1の抗体に対する結合親和性を有する第2の抗体であって、検出可能な標識と連結されている第2の抗体を用いて検出することもできる。]
[0159] 抗原が固定化されている別のELISAは、抗体の競合を検出に用いる。このELISAでは、抗体に対する標識抗体をウェルに添加して、結合させる、および/またはそれらの標識によって検出する。続いて、未知の試料中の抗原の量を、コーティングされたウェルとのインキュベーション中に試料を抗原に対する標識抗体と混合することによって決定する。試料中の抗原の存在は、ウェルに対する結合に利用される、抗原に対する抗体の量を減少させて、それ故に最終的なシグナルを低下させるように作用する。これはまた、未知の試料中の、抗原に対する抗体の量を検出するのにも適切であり、この場合には、非標識抗体が抗原でコーティングされたウェルと結合し、同じく標識抗体との結合に利用される抗原の量を減少させる。]
[0160] 用いられる方式にかかわらず、ELISAは、コーティング、インキュベーションおよび結合、非特異的に結合した種を除去するための洗浄、ならびに結合した免疫複合体の検出といった、ある種の特徴を共通に有する。これらを以下に説明する。]
[0161] プレートを抗原または抗体でコーティングする際には、一般に、プレートのウェルを、抗原または抗体の溶液とともに一晩または指定された期間にわたってインキュベートする。続いて、不完全に吸着された材料を除去するためにプレートのウェルを洗浄する。続いて、ウェルの残っている利用可能な表面を、被験抗血清に対して抗原的に中性である非特異的タンパク質によって「コーティング」する。これらには、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、または粉乳の溶液が含まれる。コーティングは、固定化される表面上の非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、それにより、表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを減少させる。]
权利要求:

請求項1
(a)イヌから核酸を含有する試料を入手する段階;および(b)前記試料中のSOD1遺伝子または転写物の構造を評価する段階を含む、変性性脊髄症の遺伝マーカーに関してイヌをスクリーニングする方法であって、参照野生型SOD1遺伝子または転写物と比較した場合の該SOD1遺伝子または転写物の構造における変化により、前記イヌが前記遺伝マーカーを保有することが指し示される、方法。
請求項2
イヌが、ボクサー(boxer)、ウェルシュ・コーギー(Welsh corgi)、チェサピーク・ベイ・レトリーバー(Chesapeake Bay retriever)、ローデシアン・リッジバック(Rhodesian ridgeback)、ジャーマン・シェパード(German shepherd)、ケリー・ブルー・テリア(Kerry blue terrier)、アイリッシュ・セッター(Irish setter)、オールド・イングリッシュ・シープドッグ(old English sheepdog)、コリー(collie)、スタンダード・プードル(standard poodle)、ワイヤー・フォックス・テリア(wire Fox terrier)もしくは別の品種、またはそれらの交雑種である、請求項1記載の方法。
請求項3
段階(a)が、パイロシークエンシング、連鎖停止シークエンシング(chain-terminating sequencing)、制限消化、アレル特異的ポリメラーゼ反応、一本鎖高次構造多型分析、遺伝子ビット(genetic bit)分析、温度勾配ゲル電気泳動、リガーゼ連鎖反応、融解曲線プロファイル、TaqMan(登録商標)アレル識別アッセイ、またはマイクロアレイハイブリダイゼーションを含む、請求項1記載の方法。
請求項4
SOD1の機能を評価するアッセイを実施する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項5
段階(a)が、前記遺伝マーカーと連鎖不平衡にある遺伝子座の構造を評価することを含む、請求項1記載の方法。
請求項6
前記遺伝マーカーが、SOD1ポリペプチドの残基40でのE→K置換に対応するSOD1コード領域内の多型である、請求項1記載の方法。
請求項7
前記試料を入手する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項8
前記試料が血液、頬組織、皮膚、精液または毛包を含む、請求項6記載の方法。
請求項9
イヌが遺伝マーカーに関してヘテロ接合性であるかホモ接合性であるかを判定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項10
参照野生型SOD1遺伝子がSEQID NO:1を含む、および/または、変化したSOD1遺伝子がSEQ ID NO:2を含む、請求項1記載の方法。
請求項11
スクリーニング方法の結果に基づいて繁殖または治療法の決断を下す段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項12
イヌ変性性脊髄症または筋萎縮性側索硬化症に対する処置を評価する方法であって、以下の段階を含む方法:(a)参照野生型SOD1遺伝子または転写物と比較した場合にSOD1遺伝子に突然変異を有するイヌを同定する段階;(b)前記イヌに対して候補治療法を施す段階;および(c)前記候補治療法を前記変性性脊髄症に対する効能に関して評価する段階。
請求項13
イヌが、ボクサー、ウェルシュ・コーギー、チェサピーク・ベイ・レトリーバー、ローデシアン・リッジバック、ジャーマン・シェパード、ケリー・ブルー・テリア、アイリッシュ・セッター、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、コリー、スタンダード・プードル、ワイヤー・フォックス・テリア、もしくは別の品種、またはそれらの交雑種である、請求項12記載の方法。
請求項14
突然変異が、SOD1ポリペプチドの残基40でのE→K置換に対応するSOD1コード領域内の多型である、請求項12記載の方法。
請求項15
評価が、神経学的診察、電気診断検査、CT/脊髄造影法、MRIまたは機能イメージングを含む、請求項12記載の方法。
請求項16
評価が、脊髄の免疫病理組織学(immunohistopathology)を含む、請求項12記載の方法。
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